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国際女性会議WAW!開催 PRの力でジェンダーイコール実現へ

本田哲也

11月22日(いい夫婦の日)に関連して公開されたP&Gの動画「家事分担をJOBからJOYへ。」。

世界的に高まっている、ジェンダーイコール(男女共同参画)の機運。女性活躍を推進する法や社会インフラの整備に加え、最近ではメディアや広告、広報PRが与える影響にも議論が広がり始めた。11月に東京で開催された「国際女性会議WAW!(ワウ)」でも、「メディアと女性」というラウンドテーブルが企画され、私もPR専門家として参加した。今回のコラムでは、広報PRがジェンダーイコール推進で果たす役割について考えてみよう。

来日中のイヴァンカ・トランプも登壇したこの会議では、次のような論点が話し合われた。ひとつは、メディアにおいて女性がステレオタイプに伝えられる影響。報道による性差別もあれば、ドラマなどコンテンツにおける家族の描かれ方、また偏った女性イメージに基づく広告表現など多岐にわたる。

働いている夫婦が一緒に育児や家事をやっているドラマが普通にあるべき、という意見があった。インターネット上もしかり。「家事」で画像検索をかけると、7割以上の画像が女性だったというデータもある。

もうひとつのポイントは、メディアや広告PR業界における女性従事者の少なさ。例えば日本の新聞記者の女性比率はおよそ20%。海外ドラマではよく広告会社やPR会社で働く女性エグゼクティブが登場するが、日本においてはまだまだ管理職につく女性はわずかだ。

女性が増えればすべてが解決するほど単純な話でもないが、男性目線のみでなされる企画や編成・報道による偏りはあるだろう。昨今急増している、いわゆる「炎上動画」も、多様性のある視線で制作されていたら炎上を免れていたようなケースは少なくない。

さて、PRの大きな役割は世の中の「パーセプション(物事の見方)」を変えることだ。これまで植え付けられたステレオタイプは、男女のあり方に関するひとつのパーセプションでもある。もちろん、労働環境や家事・育児における「実態」を変えていくことが重要なのは言うまでもないが、同時に「新しいパーセプション」をつくりだすことも欠かせない。それがジェンダーイコールにおけるPRが果たす役割だろう。

企業は時代にあった発信をしていくべきだし、結果的にはそれが世の中に受け入れられる近道となる。

WAW!のラウンドテーブルでは、最新の企業PR動画として、P&Gの「家事分担ムービー」が紹介された。台所用洗剤ブランド「JOY」のプロジェクトの一環だが、商品PRではなく「いい夫婦の日(11月22日)に向けて、家事と気持ちの分かち合いを。お皿を一緒に洗うところから。」というメッセージが主眼になっている。大きな社会課題へのチャレンジはPRの醍醐味。男性も女性も関係なく、取り組んでいきましょう。ではまた来月!

本田哲也(ほんだ・てつや)

ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長/戦略PRプランナー。
「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」にPRWeek誌によって選出された日本を代表するPR専門家。著作、国内外での講演実績多数。カンヌライオンズ2017PR部門審査員。最新刊に『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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