様々な領域で活躍中の広報パーソンに、転機となったエピソードや仕事における信条、若手へのメッセージなどを伺います。
日本マクドナルドで約10年にわたり広報に携わったのち、兵庫県明石市の広報戦略課長に就いた林利夫さん。神奈川県相模原市を経て、現在は福井県坂井市のシティセールスに携わっています。10月26日・27日に品川区で開催された「全国シティプロモーションサミット」の会場で、その仕事観を語っていただきました。
「広報に強い」トップに学んだこと
──最近、自治体の仕事に関心を持つ広報パーソンが増えています。マクドナルドからの転身というのは、珍しいですよね。
きっかけは偶然の出会いでした。私はマクドナルドが全都道府県の主要都市出店を推し進めていた当時の広報責任者で、全国を飛び回っていたんです。本社から一方的にニュースリリースを流すのではなく、必ず各地の市政記者クラブを訪れていました。県庁や市役所の方々とご一緒する機会も多かったですね。
そんな経験もあって、東京以外で働くことにまったく抵抗がなかった。ちょうど次なるキャリアを模索していたとき、明石市が広報戦略担当を募集していて。明石はマクドナルド時代に訪れた際、好印象な土地だったこともあり転身を決めました。
マクドナルドでは店舗運営も経験しましたが、広報として藤田田、原田泳幸というタイプが異なる2人の経営者のもとで仕事ができたのは貴重な経験でした。ただし共通していたのは、「広報に強い」ということ。特に記憶に残っているのが、藤田の「すべての店舗が本社なんだ」という言葉です。「何よりも一番大事なのは店舗。地域の一番店を目指す各店の頑張りによって、会社は成り立っている」と。
シティセールスも同じです。各自治体が切磋琢磨してまちの魅力を発信すれば市民が元気になるし、日本全体の活気や地方創生にもつながる。広報は何かを生産・製造するセクションではありませんが、まちの皆さんが「こんな話題をPRしたい」と思ったらメディアに積極的に売り込んでいくことができる。するとモチベーションが高まって、自発的に「もっといいまちをつくろう」と動き出すようになります …