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2018年版 危機管理広報&炎上対策

危機管理広報成功のカギは初動の電話対応にあり

佐々木政幸(アズソリューションズ 代表取締役社長)

今回は仮に「社員による毒物散布事件が発生した」という設定でシミュレーションし、電話対応のポイントを解説する。

クライシス発生時の広報対応といえば「記者会見」の印象が強いが、実は、それよりも重要なのが発生直後の「電話対応」だ。電話は、危機の事実を社外に向けて公表する一番初めの窓口となる。ここでの対応によっては、記者会見の前に企業のマイナスイメージやネガティブな論調が固まってしまうこともある。

電話は必ずペアで対応する

危機対応は電話対応までの初動対応で8割方決まってしまう。広報担当者が社会に対する説明責任をしっかり認識し、原因究明に全力をあげて、正確な情報を迅速に開示することで記者会見の際に糾弾されるリスクは大幅に減るのだ。

各メディアから一斉に電話がかかり始めると、1分1問ペースで質問をさばいていくことになる。その際に大前提として守っていただきたいのが「一人で対応しない」ということ。電話対応をする広報担当者の横に、発生源となった部署の部員など事故状況に詳しい人を付け、ペアで対応に当たるようにする。想定問答集にない質問にも迅速に答えられるほか、やりとりを記録することで「言った・言わない」の水かけ論を防ぐことにもつながるのだ。

それでは、ここからは実際にあった事件をモチーフにした事例を通じて、具体的な電話対応方法について解説していこう。

Q あなたの会社でこんなことが起きたら、広報担当者としてどうする?

平日の朝9時。通勤客でごった返した都内の駅のホームで男が毒物を撒き、負傷者が多数出ている──。他人事と思い静観していたのもつかの間、容疑者はわが社の医薬研究所の研究員とみられることが判明。研究所の保管庫から毒物を持ち出して犯行に使用したようだ……。

1時間以内にコメントを用意

今回は、自社の社員が刑事事件を起こしたというケースを想定して、危機発生直後の初動対応をシミュレーションする。警察が絡まない不祥事やネット炎上などの場合でも、情報の収集先が異なるだけで基本的な対応は同じ。ぜひ緊急時のマニュアルとして参考にしてほしい …

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