広報なら注視しておきたいネット炎上のトレンド。本稿では、ウェブリスクに詳しい筆者が事例を分析し抽出した「3つのキーワード」から2017年を振り返る。
2017年を振り返るうえで欠かすことができないのが、2016年の米大統領選とドナルド・トランプ大統領の就任が世界的に与えたインパクトである。大統領本人の型破りなTwitter活用に対応を迫られる日本企業も少なからず見られたほか、フェイクニュースなど自分たち自身のリテラシーや情報への向き合い方を問われた1年でもあった。ここでは、ネット上の炎上事件や議論などを3つのキーワードにまとめ、現在のトレンドとして解説していきたい。
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作中に登場する父親の行動に賛否両論が巻き起こった - ムーニー 子育てママの動画
赤ん坊と向き合うママの描写が感動的という声とともに「ワンオペ育児」を肯定的に扱っていると批判も生んだ - フジテレビ 「保毛尾田保毛男」
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演出が卑猥などと批判が殺到し公式HPから削除 - ダヴ Tシャツを脱ぐと異なる人種に変身する動画
表現が人種差別に当たるとの批判が寄せられ謝罪した - 「インスタ映え」コンテンツ
SNS投稿できることがアピールになる一方でインスタグラマーのマナーの悪さへの批判も噴出した - JR松戸駅に設置された警備会社の看板広告
「もし突然ゾンビが現れても、安全です。」という過激なコピーが批判を生み即日撤去された - クラウドソーシングへの発注
特定政党に好意的な記事制作を大量発注され問題に
2017年 ネット炎上を読み解く 三大キーワード
(1)世論の分断
ネット上で意見がぶつかり合うケースが日常的に起きている
(2)セーフラインの変化
かつては許容されていた表現が認められなくなっている
(3)リアクション至上主義
SNSで「ウケる」ことに世の中の意識が向かっている
(1)世論の分断
生活に密着したテーマに注意
世界的に社会の分断が進んでいる。米大統領選では、支持者たちは単に支持する勢力を応援するだけに留まらず、相手側を敵視しヘイトのような形で攻撃する傾向が目立っていた。そして、お互いが共通点を見出したり合意形成に向かうのではなく、意見をより先鋭化し極端な方向に進もうとしているかのような現象が多く見られるようになった ...
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