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会社ごとを「自分ごと」に SCSK、YKKの事例に学ぶインターナルコミュニケーション

産業編集センター

産業編集センター主催の「『会社ごと』を『自分ごと』へ」と題したセミナーが9月13日に開催された。ケーススタディを通じて社員に当事者意識を持ってもらうためのしくみを事例をもとに紹介した。

経営理念の浸透活動について説明するYKK 経営企画室広報グループ長の井深緑氏。

第1部は、SCSKの杉岡孝祐・広報課長が登壇した。2011年に住商情報システムとCSKが合併して誕生した同社は、SCSKとしてスタートラインに立った際「夢・共創」さらに「融合」をキーワードに掲げた。

当時はCIやパンフレットの刷新と多様な業務に追われていたが、社内報は当時の広報部として「ファンクラブの会報誌のようなワクワク感」を重視して継続を主張。社員や著名人のインタビューなど、工夫を重ねた結果評判も良く、24ページから40ページにボリュームを増やすほどに。イントラネットは速報性を第一に、社内の動きを紹介。合併前から運営していたが、合併後にはネタも増え2日に1度は更新するほどになった。

SCSKは2014年、2015年の「人を活かす会社」調査の総合ランキング(日本経済新聞社)で首位に輝いたことで社外からの注目度が高まった。「広報の役割は、会社のファンをつくること、そして押し売りをせずに社員の後押しをすることだ」と杉岡氏は言う。

社内を「客観視」することから

第2部では、産業編集センター はたらくよろこび研究所 石原良平氏が登壇した。冒頭、石原氏は「コミュニケーションのゴールは伝えることではなく、相手に行動してもらうことだ」と述べ、「その間には行動変容が伴う。ここで当事者意識をいかに醸成できるかが鍵」とポイントを説明した。

またインターナルコミュニケーションでは、はじめのステップとして、まず現実をみつめ、あるべき姿とのギャップを認識することが必要と指摘。そこから課題を見つけて解決策を見出し、どのようなアクションを取るべきかのヒントを見つけるべきとアドバイスした。「最終的には繰り返しアクションを起こせる仕組みをつくっていくといい。まずは社内の状況を客観視するところから始めていただきたい」と語った。

第3部ではYKKの井深緑・経営企画室広報グループ長が登壇した。YKKグループのビジネスの中核を成すのは、ファスナーなどを扱うファスニング事業と建材を扱うAP事業。前者は売上高の海外比率が8割であるのに対し、後者は国内8割と異なる市場で事業を展開する。

その中で同社が精神的支柱とするのがYKKの精神「善の巡環」だ。経営理念の浸透活動が本格化したのは、2008年。創業者である吉田忠雄氏生誕100年の節目に社員一人ひとりにYKKの原風景を再確認してほしいという当時の社長の強い思いがきっかけだった。当時は不祥事や業績の伸び悩みにも直面しており、改めて全社員が会社のあるべき姿を考える必要があったという。

2008年からは全社員4万人を対象にしたフォーラムの世界同時開催や少人数で語り合う「車座集会」や「語らいの場」の実施、イントラネット「発見の森」の開設など、様々な取り組みを進めてきた。「理念への理解を深め、実践につなげる場が必要。現場主導による、事業や国・地域にあった方法で活動を続けたい」と井深氏は話した。

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