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近大マグロに続け! 全入時代の大学広報

大学ジャーナリストが斬る、大学広報「できる」「できない」の境界線

石渡嶺司(大学ジャーナリスト)

大学や就職の専門ライターとして活動すること14年。これまで日本の大学778校(4年制大学のみ)のうち、約400校を訪問しました。著作は28冊あります。当然ながら大学の広報担当者とやり取りする機会も多くあります。今回は、そのときの私怨、もとい、複雑な感情を交えつつ、大学広報の各場面についてまとめてみました。

【大学サイト編】

記者やライターはどこに問い合わせたらいい?

    【できる】取材対応をする部署のメールアドレス・直通電話番号を掲載

    【できない】大代表のみ/取材対応の部署が不明

    問い合わせ窓口が明確に記載されていないと、ポジティブ・ネガティブ両方の意味で問題あり。マスコミがポジティブな取材をしようとしても部署が不明だと面倒と感じて取材を断念することも。

    学生の飲酒、教員の不祥事などネガティブな事件だと、取材対応部署がはっきりしていないことを理由に当事者に直接取材がいく。結果として傷が深くなることも。

【広報担当者・マスコミ対応編】

広報担当者の基本的な心構えとは?

    【できる】日ごろからよく情報収集している

    【できない】勤める大学のことを何も知らない

    できる広報担当者は大学の基本情報をきちんと押さえている。そのうえで取材対応でなくてもよく学内を回り、大学トップや他部署の教職員ともきちんと話をしてネタを拾っている。それをSNSで出したり、プレスリリースにまとめるので、取材が広がる好循環に恵まれる。うまいのが近畿大学、それから金沢工業大学、追手門学院大学、豊田工業大学など。金沢工業大学は広報課のトップだけでなく、一職員もきちんと対応してくれるので好感が持てる。

取材記事に対してどんな確認・要求をしているか?

    【できる】最低限の確認しかしない

    【できない】全文チェックや囲み記事扱いを要求

    広告記事ならまだしも新聞社など媒体によっては記事内容すら見せない。その前提で取材を受けるかどうか、判断するしかない。取材対応のうまい大学だと、そのあたりはよく分かっている。これが下手な大学だと、「1時間、取材に時間を割いたのだから囲み記事にしろ」「コメント部分以外にも全文を見せろ」などマスコミとしては呑めない要求をしてくる。取材慣れしていない教員が言うのは仕方ないにしても、広報課職員が言い出す大学は大体が危なっかしい。

プレスリリース どんな内容で、どう配信する?

    【できる】名刺交換した相手にどんどん流す

    【できない】そもそも作らない

    大半の大学は、プレスリリースを流す、という発想がない。話を聞くと「どんなネタがいいのかよくわからないので作っていない」。

    近畿大学などうまい大学は、それこそ「留学生の×君が▽の表彰を受けた」「近所の小学生30人が教職課程の学生と交流をした」という小さなネタでもすぐ名刺交換をした記者全員に流す。些細なネタでも記事になる可能性はいくらでもある。


    【できる】どんなネタか、はっきりしている

    【できない】何を言いたいか、意味不明

    ダメな大学だと、あれこれ詰め込みすぎる、自画自賛過ぎるなど、結果として何を言いたいか、よく分からない文章をプレスリリースと言い張る。うまい大学だと、1ネタではっきりさせる。

メディア関係者との距離の縮め方とは?

    【できる】講演や勉強会などに出席して接触

    【できない】Facebookで友だち申請

    Facebookで友だち申請のついでに「大学のことをご説明したいのでお時間をいただきたい」。まったくご縁がない方からのFacebookの友だち申請・メッセージは今まで記事になった試しがない。「PCアドレスにどうぞ」と返信している。

取材の申し込みにどう対応しているか?

    【できる】即日か遅くても数日で返答

    【できない】1週間以上、あるいは1カ月後に返答

    普段から人間関係をつくれているかがカギ。できる大学だと本当に素早い。これが遅い大学だと本当に遅い。1週間でもどうかと思うがひどい大学だと1カ月以上かかった。こちらも、すでに取材どころか記事を出したあとだったので「ご丁寧にどうも」としか言いようがなかった。心なしか、休暇の長いキリスト教系大学や国公立大学に多い気がする。

受けるのが難しい取材にどう対応する?

    【できる】可能性を探った後、断る

    【できない】一度、受けてから取材当日に断る

    広報にとって難しい取材対応があるのも確か。できないならできないではっきり断ってくれた方がマスコミ側も別の取材候補に当たれる。最悪だったのは東北の某国立大学で、一度受けた取材を当日に「やはりテーマにそぐわないので」と教員が断ってきた。取材慣れしていないとはいえこの教員も論外だが、それをグリップできない広報担当者もどうかと思う。

    タイトルや表現についても同じ。企業広報にもいるが、タイトルや本文の言い回しにケチをつけて喜ぶ広報担当者や現場担当者がいる。事実誤認ならマスコミ側の責任だが、それ以外は多少気に食わなかったとしても飲み込む度量がほしい。

開示すべき大学のデータ どのように扱っている?

    【できる】公開データを丁寧にまとめている

    【できない】公開データすら無断使用禁止と言い張る

    大学の基本情報は、今は文部科学省の指示で公表が義務付けられている。できる大学は、細かい部分まで丁寧に公表している。何を誤解しているのか、国立大某校はそれすら「無断使用禁止」との一文をサイトに掲載している。よほど都合の悪いデータが載っているのか、と勘ぐりたくなる ...

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