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IRの学校

「翻訳力」と「相場観」を身に付け数字に強いIR担当者に!

大森慎一(Japan REIT 社長室長)

広子がリフレッシュ休暇を終え、セミナールームに戻ってきた。休みの間に後輩の東堂が機関投資家を訪問したことが少し気に入らないようだが、数字力には興味を示している。


広子:こんにちは、お久しぶりですね。

大森:こんにちは、元気そうだね。

広子:すっかり、リフレッシュさせていただきました。なにやら私がいない間に東堂とこそこそ動いていらっしゃったとか。

大森:ごめん、流れでこうなったけど、今度機会つくるからさ。

広子:そのときはお願いします。東堂も「非常に勉強になった」と言っているからよかったです。ところで、数字力は私も高めたいと思うのですが、数字力とは結局どういうことでしょうか?

大森:どうだい?東堂さん。

東堂:そうですね。数字の変化を具体的な事象や、世の中の変化に結び付けて把握できる力でしょうか。

大森:いいね、「数字翻訳力」だね。

広子:翻訳力……。イメージは分かるんですけど、いまひとつどうやって高めるか見当がつきませんね。

数字力のある人、ない人

大森:そうだなあ。ところで、広子さんはなんで数字力に興味があるの?

広子:私としては、勢いやコミュニケーション力だけで評価されているのではなく、知性的なところを見せたいと思っていることの延長ですかね。

大森:広子さんらしいね。じゃあ、数字力がないなと感じる場面は?

東堂:そうですね。数式や数字を並べられるとそれだけで拒否反応が出たり、数字を交えてお話しされてもピンと来なかったり。

広子:数字の話で盛り上がるのを横で見ていると疎外感を感じます。

大森:よし、ではもっと具体的な場面を思い出してみようか。あの人は数字に強いって感じる場面はどんなときかな?

広子:例えば、外貨建ての表示をあっさり円換算されたりすると強いなと思います。

東堂:具体的ですが、当社の経営企画室長が、新しい企画の先行指標やKPIをさっと想定していくのは、すごいと感じますね。

広子:社長がお店の業績を並べたエクセル表を眺めて、「ここの数字が間違ってない?」とか、「このお店に何かトラブルあった?」などと営業部長に詰め寄るのですが、だいたいは社長の指摘が合っていて、びっくりします。

大森:確かにそういう意味で数字に強い人はいるね。俯瞰力というか、本当にすごい感覚の持ち主だと思う。さて、2人が目指す数字力を少し整理しておこう。

数字翻訳力と数字相場観

大森:まずは、数字の羅列が怖くない。次に、計算が早い・暗算が得意、概算が早いとか。これはいわゆる「計算力」という感じだね。単純にここがゴールなら、100マス計算とか珠算習おう、って話だよね。

広子:基礎としてはそうですよね……。

大森:そう。これを基礎として、さっき言葉にした「数字翻訳力」と「数字相場観」を合わせた能力が数字力という整理はどうかな。

広子東堂:えっ??

大森:ごめんごめん、唐突だったね。「数字翻訳力」は、現実の事象と、それを表す数字を合致させる感覚のことなんだ。

東堂:逆に言えば、数字の変化から現実の変化を想像できる力ですよね。

大森:そうそう。それで「数字相場観」は簡単に言うと、ある数字を共有されたときに、その大きさや変化率がどのくらい価値があるものなのか理解できる能力かな。

広子:それって難しくないですか?大森さんから「数字を羅列するのにとどまらず評価を与えろ」とよく言われていますが。

大森:そうだね、対話者が相互に理解するには評価軸の共有が前提だね。

広子:評価軸の共有?

大森:例えば、普通の算数の足し算、引き算は、ひとつの数直線上で、足し算なら右、引き算なら左へ、大きさ分動かすという前提があるんだよ。単位も決まっているから誰もが同じ答えになるし、直感的に理解できる。ルールが共有できているんだ。我々の世界で数字というのは、会社の財務数字であったり業界の統計数字であったり、ある程度は分野が絞られているから。

広子:だから、そこは評価軸を共有しやすいってことですね!

東堂:「数字を共通言語と考える」という言葉もありましたね。

大森:数字を見て、物事の動きが分かる人はこの辺りの理解度が高く、数字でやりとりできる2人は、評価の座標軸がしっかり共有できている、というわけさ。

広子:なるほど、そういうことならイメージできます。翻訳力と相場観を鍛える具体的な方法は、というとどうなりますか?

大森:そうだね。翻訳力の方は、この3つかな。

(1)P/LB/Sの関係、会計や仕訳のルールなどの「ロジック理解」

(2)売上高の変化と仕入高や売掛金、在庫などの変化の関連性、KPIや各財務指標の分解・合成の関係といった「数字の相関性」

(3)出力される数字が、現実の現場でどういう作業で生まれるのか、「現場理解」などに分解できるか

広子:おおっと、いっぱいですね。

大森:ルールの理解なんだから多少は汗をかいてもらわないと。実際に数字を入力して計算式に触れながら、それぞれの数字の関係性と、高い理由・低い理由を考えることで、より理解が深まる気がするね。

広子:慣れることが大事なんですね。

大森:相場観の方は、日ごろからグラフや指数化といったビジュアル化を自分でやってみて感覚をつかむ感じかな。地道だけど、上司や他の職員、投資家などとディスカッションして磨くしかないかもね ...

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