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社内報のつくり方

ゼネコンで働く誇りを生む 大林組の「ワンテーマ型」社内報

大林組

インターナルコミュニケーションを活性化させ、事業の成長を後押しする役割を担う社内報。今回は大林組の社内報制作の裏側に迫ります。

大林組『マンスリー大林』



前衛的なオブジェを思わせる写真の表紙が目をひく、ゼネコン大手の大林組が隔月刊で発行する社内報『マンスリー大林』。国内外で働く8500人の社員を中心に配布する。会社の方向性や経営者の考えを伝えるツールとして発行を続けるとともに、社内広報には、日々の自社の動きを伝えるイントラネット「デイリー大林」を併用。アンケートを募るなど、社員とのコミュニケーションツールとして誌面づくりにも活用する。

毎号、平均32ページで構成する誌面は特集から連載まで、なるべくワンテーマとなるように編集する。7月号では今年策定された中期経営計画の戦略を特集し、各連載では、中計の「新領域事業」の核となる再生可能エネルギー事業を掘り下げる内容とした。現場の様子や仕事内容、働く社員などの事例を通して風力発電やバイオマス発電、太陽光発電などの新領域事業への理解を深めている。

誌面には多くの写真やイラストを活用し、社員も登場させるなど編集上のこだわりが見られる。そこにはゼネコンならではの背景がある。

「建物を扱う建築事業やインフラをつくる土木事業など、それぞれの事業部門で完結してしまう業務がほとんど。他の事業を具体的に知る機会が少ないことから、社内報での情報共有が重要だと考えています」と社内報を制作するCSR室社内広報課長の田籠(たごもり)裕子氏は話す。「自社の事業を広く知ることは、会社の方向性を理解し、大林組グループとして力を発揮するために重要」と考え、各事業をバランスよく取り上げ、かつ理解しやすい誌面づくりを実践している。

社員のみならず、家族も読者対象として重要視してきた。「社員は仕事に誇りを持って働いているが、ゼネコン業界はネガティブなイメージで語られてしまうこともある。熱心な働きぶりや、ものづくりの面白さを家族にも伝えることで、それを払しょくできれば」と田籠氏は説明する。例えば竣工した現場写真を掲載するコーナーで、携わった社員の記名入りで案件紹介文を載せているのも工夫のひとつだ。

なるべく専門用語を使わず、平易な文章で原稿を構成しているのも家族が読むシーンを意識しているからこそ。取材の際には「小学生でも分かる言葉で語ってもらえないか」と依頼することもあるほどだ ...

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