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広報活動の効果測定

広報が広告換算値を使うべきでない8つの理由

ジム・マクナマラ(シドニー工科大学 パブリックリレーション教授)

PR・コミュニケーションの効果測定における「広告換算値」の是非を問う声は欧米から上がった。その旗手ともいえるのが、2010年に「バルセロナ原則」を発表したAMEC(International Association for Measurement and Evaluation of Communication:国際コミュニケーション測定評価協会)。

以降、主要な国際PRアワードの審査において「広告換算値」を成果として認めないとする動きが見られるなど、ひとつの「潮目」となったことは確かだ。AMECのフェローを務めるジム・マクナマラ教授の論考を紹介する。

広告換算値(advertising value equivalents)は、PRあるいは編集ページ・番組でのパブリシティの価値を測定するものとして、いくつかの組織で利用されている。

しかしながら、広告換算値は定義上誤ったものとなっている。独立した、学術的な調査が示すように、業界のスタンダードやガイドラインに反し、無効で誤った主張に基づいている。また、方法論的にもいくつかの理由において不備がある。以下は、広告換算値を使うべきでない8つの理由をまとめたものである。

「価値」の測定値ではない

「広告換算値」という言葉は、(1)(2)の2つの観点から不正確で、誤解を導くものである。

    (1)いわゆる「広告換算値」は「価値」を測定したものではない。これは実際には、「コスト」の計算である。しかも仮説としての「コスト」である(すなわち、もし広告として購入したら、記事の面積や番組の時間がいくらになるのかといったものである)。

    (2)「広告」と、「編集ページ・番組でのパブリシティ」は同じものではない。広告は、コンテンツ、デザイン、レイアウト、(ブランドの)ポジショニングにおいて、完全にコントロールできるものである。一方、メディアの編集報道はそういった要素が一定しない。

    編集ページ・番組のコンテンツにおいては、目立つポジショニングで(商品やサービスが)紹介されることもあるし、そうでないこともある。組織のキーメッセージが強調されることもあるし、されないこともある。広告では当たり前のように使われる注意を引くようなビジュアルがない、テキストのみの記事の場合もあるし、競合の販促につながるような情報を含む場合もある。また、報道したメディアは、(情報発信した側にとって)プライオリティの高いメディアではないこともある。

    さらに、編集報道は、ネガティブな内容であることもある。そして、しばしばニュートラルな報道であることもある。一方で、広告ではネガティブな内容はありえないし、ニュートラルなものもない。広告は注目を集めるため、人々の心に突き刺さるようクリエイティブにデザインされている。

さらに、業界のスタンダードと倫理的ガイドラインにも反する。

    (3)バルセロナ原則はAMECによって制定され(2010年に制定、2015年に改訂)、世界的な業界団体によって採択されている。同原則ははっきりと、以下の理由から広告換算はPRの有効な測定方法ではないとしている。

図1 「バルセロナ原則2.0」の7項目
「バルセロナ原則」はAMEC(国際コミュニケーション測定評価協会)が2010年に発表。2015年に改訂版の「バルセロナ原則2.0」を公表した。

「掛け算の方程式」は有効か

編集メディアは広告メディアよりも信用性の高いものであるという前提で、掲載されたメディアの面積や時間の量に応じたメディアの広告料金にある係数が掛けられることがある。2003年に実施されたウォルター・リンデンマンの調査および2006年に実施されたマーク・ウィーナーとドン・バーソロミューの調査によると、広告費に2倍から8倍が掛けられている ...

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