「効果測定」は広報活動における永遠の悩み。ソーシャルメディアの口コミ数、ウェブニュースの波及効果といった指標も増え、従来からある「広告換算」による測定方法への疑問の声も聞かれます。さらに売上への直接的な貢献などを求められる場面も増えているようです。今回は基本から応用まで、自社に適した指標づくりについて考えていきます。
戦略的な広報には、目標設定とその検証のPDCAが欠かせない。自動車メーカー広報、PRエージェンシー双方の現場を統括してきた土井正己氏が広報に必要なKPI設定について解説する。
広報が効果測定をする目的、それは「戦略的広報」に取り組むためです。戦略的広報とは、すべての活動に目標を持って行う広報です。広報の仕事は目標がなくとも、なんとなく受動的にこなせてしまいます。トップや各部署から言われたことを発表して、その結果を報告していれば日々の業務が回りますから。とはいえ、そういう広報は機能として意味があるのでしょうか。
広報で成果を上げるには、目標を持って戦略的に活動し、PDCAを回していく必要があります。効果測定はそのために行うものであり、いわば自分たちを評価するためのものなのです。
戦略的広報のためのPDCA
広報活動のPDCAの中でどれが一番重要だと思うか尋ねると、多くの人が「C(チェック)」と答えますが、チェックするのは当然のこと。一番重要なのは「P(プラン)」です。プランの段階で、「戦略・アクションプラン・目標」を明確に設定しておかないとチェックはできません。
例えば「ある商品発表で、新聞5紙、テレビ1番組で取り上げてもらう」という目標を設定し、達成できていなかったとします。
なぜ達成できなかったのか、活動を振り返ってみると原因がいくつか出てくるはずです。それを解決しようとするのが「A(アクション)」です。PDCAを回すということは、活動を見直し、アクションを起こし、目標達成に向かうことです。ですから一番重要なのはやはり「P(プラン)」となります。
目標と結果の乖離を把握する
以上を踏まえ、広報にも活動を評価するKPI(Key Performance Indicat or/重要業績評価指標)が必要です。広報のKPIとしては①活動KPI ②露出KPI ③結果KPIの3つを設定し、年間の活動目標や活動計画に具体的に落とし込むことをおすすめします。そして「目標と結果の乖離がどのくらいか」を把握し、結果について議論し、反省を次回に活かすことが重要です ...