新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。
企業のウェブサイトは様々なステークホルダーとのコミュニケーションの最も重要なプラットフォームだ。PRプロフェッショナルとしてもその上手な活用法やトレンドは知っておいて損はない。今回は、海外の秀逸なコーポレートサイトのノウハウについてご紹介しよう。
「対話と透明性」重視のネスレ
IT調査会社、ガートナーが2013年にマーケターに対して行った調査を見てみよう。「マーケティングの成功に最も寄与した活動は何か」という問いに対し、最も多かった回答は「コーポレートサイトのデザイン、開発、メンテナンス」だった。ソーシャルメディア上でのマーケティング、オンライン広告、コンテンツ制作などよりも重要という結果だった(図1)。
ウェブサイトは顧客、株主、就職希望者、取引先などすべてのステークホルダーにとっての情報のハブであり、視認性や使い勝手などは、セールスや企業のレピュテーションに直結する。
イギリスのデジタルコミュニケーションコンサルティング会社、ボーエン・クラッグスは世界の大手企業のウェブサイトのランキングを作成し、1997年から毎年発表している。評価軸は「構造」「メッセージ」「コンタクト(問い合わせ)」「社会向け」「投資家向け」「メディア向け」「就職希望者向け」「顧客向け」という8つで構成され、世界の200の超大手企業の中からトップ30社が選ばれる。
その2016年のランキングの上位10社は図2の通りだ。
1位となったのはスイスのネスレのウェブサイトだ。写真やイラストなどを多用し、カラフルで見やすいデザインで、特に「対話と透明性」がトップの理由として挙げられた ...