広報が付き合うべきは、報道関係者だけではない。業界アナリストとの関係性の築き方について、IT業界を中心に解説していきます。
8月号掲載の第1回では「関係を構築しないと損をする!」として業界アナリスト(産業アナリスト)の概要について紹介しました。証券アナリストとは違い、上場企業でなくても自社のサービスやコンセプトを理解してもらい、付き合うべき相手であることが伝わったでしょうか。今回はさらに一歩踏み込んで、アナリストの取材調整や、取材時にどのような対応をすべきかを中心に紹介します。
待っていると取材が来る?
アナリストの取材には、インバウンド(先方から連絡が来る)とアウトバウンド(こちらから連絡する)があります。アナリストは情報収集力に長けており、記事検索やウェブサイトの情報を元にして取材依頼が来ることも多くあります。広報活動を適切に行い、業界紙へのメディア露出が適切に行われている場合は取材依頼があると思っていいでしょう。アナリストから来る取材には大きく3パターンあります(図1)。図1①のタイプの取材に対応している企業は多いと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか?
取材依頼があったら、図2に示したように、その取材を受けるかどうかという判断が必要となります。取材を受けるためにはそれなりの労力がかかります。すぐにアウトプットがある記者の取材と違い、アナリストのアウトプットは見えないこともあります。企業によっては繁忙期などには時間が取れず、お断りするケースもあります。
ただ、取材依頼があるということは、図1②のようにその先にサービスを選定予定のリサーチコンサルティング会社のクライアント企業がいたり、自社の見込み客が出席するその分野のクローズドなセミナーが予定されていたりと、アナリストが何らかのアウトプットを計画していることが多いのです。
自社のロードマップや提供している製品・サービスのコンセプト、世の中に与えるインパクトなどを適切に理解してもらうことは、アナリストの先にいる人たちに自社の情報を中立な立場で届けられるチャンスとなることが多いです。できるだけ断らないほうがいいでしょう。図1③のようにアウトプットで自社名が出ない場合であっても、自社が提供している製品のマーケットが伸びていることがアナリストのレポートで示されれば、それは回り回って自分たちに返ってきます。
製品部門の責任者が対応を
取材を受ける人は、アナリスト側から指名されることもあります。多くの場合、製品やサービスのコンセプトも含めて語れる、マーケティング部門や製品部門の責任者が適切です。場合によってはその部下である現場のスタッフも同席させるようにして ...