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社内報のつくり方

受け継がれる創業者の思い ホンダの社内報に見る企業哲学

本田技研工業

インターナルコミュニケーションを活性化させ、事業の成長を後押しする役割を担う社内報。今回は本田技研工業の社内報制作の裏側に迫ります。

本田技研工業『POLE POSITION』



本田技研工業(ホンダ)が国内の事業所で働く約4万5000人に向け発行しているのが、年4回発行の社内報『POLE POSITION』だ。会社の方向性を周知することを目的としているが、同時に、ホンダの従業員である誇りや「ホンダフィロソフィー」と呼ばれる企業哲学を伝えることを大切にしている。

特集では、各号発行のタイミングに適したトピックを掲載し会社の今とともに、従業員の思いも丁寧に伝えてきた。例えば2016年冬号では、ロードレース用のバイクを一般道で走行できるよう仕様変更した2000万円以上の二輪車を特集。

1日1台しか生産しない、ホンダの技術を結集したバイクを製造する工場を訪問し、完成までの作業に向きあう従業員の姿を取材した。「高価で身近ではない商品だからこそ、発売したことをただ伝えるのではなく、仲間の思いを通してホンダで働く誇りを感じてほしかった」と広報部Web・社内広報課の北川優氏は話す。

また、編集部では「等身大の自分たちを伝える」ことに注力している。今の立ち位置を理解することが仕事に対する行動の変革や、ひいてはブランド力の強化につながると考えているからだ。外部からみたホンダを特集した企画では、就職人気ランキングや企業ブランドランキングの一覧表を掲載し、自社の評価を確認。

さらに同業他社にまで訪問し、自社の強み、弱みを聞いている。「誌面づくりにあたって“どのような場面でも正直に”ということを大切にしています。創業者である本田宗一郎も、そう仕事をしてきたというルーツがあります」と北川氏。

創業者の数々の言葉を伝えるコーナー「Honda明解名言事典」もある。今では、実際に知る従業員が少なくなった歴代の経営者たちの言葉が社内でどう活かされてきたのか、エピソードを交え紹介している。

2016年には、全社レベルで行うレクリエーション大会が23年ぶりに復活し、運動会を開催した。八郷隆弘社長が表明した、組織としての一体感を醸成する「チームHonda」の考え方に基づく企画でもある。背景には、本田宗一郎氏による「レクリエーションをばかにするやつはどうかしている」という言葉があったことを「Honda明解名言事典」では記している。

編集部では、これからもホンダが置かれている状況を伝えながら、従業員が誇りや企業哲学を見失わず行動を変革していくことができるよう、誌面のブラッシュアップを進めていく考えだ ...

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