記者と広報は、なぜすれ違う?第一線で活躍するメディアの記者に本音で語ってもらいました。
週刊誌記者 Tさん(女性)月刊誌や週刊誌などを渡り歩き、編集歴は10年を超える。カバー範囲は政治経済から文化・芸能まで幅広い。最近ようやくInstagramを始めてみたものの、フォロワーが7人しかいないのが密かな悩み。 |
ものすごくダメ、というわけではない。仕事が早く、人当たりもよく、基本的には付き合いやすい広報の部類に入る。おそらくご本人も、自分自身を「デキる広報」だと思っていらっしゃることだろう。が、そういう人の中にこそ潜んでいるのだ。記者にとっては「うーん……残念」と思わざるを得ない広報が──。
「分かりました!すぐに取材をセッティングしますね!」。とある企業の広報、Aさん(女性)に「御社の『仕事ができる社員』をインタビューさせてほしい」とメールをすると、数時間も経たないうちにそう返事があった。担当する週刊誌の企画で、複数企業の社員数人のサクセスストーリーを取材しなくてはならず焦っていた私にとって、いち早く取材を快諾してくれたAさんは頼もしい存在に思えた。
Aさんと仕事をするのはその時が初めて。数週間前に、普段親しくしている別の企業の広報担当者の紹介で知り合った。名刺交換をした際、「ぜひ、一緒に仕事をしたい!」と熱く語ってくれたので、せっかくだからお願いしてみることにしたのだ。
うまく話しが進まない「違和感」の正体
Aさんは数日のうちに、役員のBさんの取材をセッティングしてくれた。ここまでは本当にスムーズで、非の打ちどころがない対応だった。そう、ここまでは……。
インタビュー当日。取材の場に、Aさんも同席してくれた。このインタビューはBさんの入社から現在までのキャリアについて時系列で話を伺い、その成功の秘訣を聞く、というのが趣旨。Bさんはどうやら取材慣れしているらしく、冒頭から軽快な調子で話し始めた。
ただ、開始数分後から、そこはかとない違和感があった。Bさんとコミュニケーションがうまく取れない感じがする。しばらくして、その原因が同席するAさんの態度にあるのではないか、と気づいた。「うん、うん、うん、うん!そうですね、まさにそうですね!!」と、Bさんの話にやや食い気味で相づちを打ち続けているのだ。これが気になって気になって仕方ない ...