海外の調査会社のM&Aを重ね、今では13カ国34拠点を構えるマクロミル。さらに創業者の退任など、短期間に劇的な経営体制の変化を遂げてきた。4月には再上場を果たし、社内ではビジョンや行動規範の浸透に力を入れている。

2016年6月、7カ国18人の社員が集まったValue Committee合宿から。全従業員向け調査の結果に基づいたバリュー策定に向け、話し合いを重ねた。
2016年6月、マクロミルグループの4社から18人の社員が東京に集まりグループの「行動規範(バリュー)」について議論する合宿が開かれた。メンバーは日本の社員のほか、経営統合したオランダのメトリックスラボ、韓国のエムブレインをルーツとする海外拠点の社員らも一堂に会した。
2000年にリクルート出身の杉本哲哉氏が創業したマクロミルだが、今では13カ国34拠点を構えるグローバル企業だ。杉本氏は2015年に退任、従業員数はグループで1500人を超えるなど数年で大きく体制が変化した。
M&Aによって異なる創業理念や文化・価値観を持つ企業同士が集まっており、当然ながらグループ共通のビジョンやミッション、バリューが必要となる。そんな思いから、広報室や人事部門を中心とするグループ横断でプロジェクトが始動した。
人事との連携について、本プロジェクトのマネージャーを務めた中野崇氏は「社員の行動変革を起こすには、ビジョンの浸透度合いを人事評価の指標とすべきという考えから」と話す。今では新入社員にもビジョンに関する研修を組み入れている。
全役職員の声が議論の土台に
ビジョンとミッションは経営陣が議論し策定したが、従業員の日々の行動や意思決定の規範となる「バリュー」はボトムアップ型で決めるべきと判断した。「代表社員による合宿の前に2つのステップを踏み、社員の声を可視化していきました」と中野氏はプロセスを明かす。
まず取り組んだのが、グループの全拠点を対象としたアンケートだ。自分たちの会社に「新たに取り入れたいこと」「変えたいこと」「維持したいこと」という3つの項目を自由に回答してもらった。回答率は全体平均が約60%で、集まったキーワードを定量的に分析。例えば「風通しの良さ」など、グループで共通しているイメージや拠点ごとの意識の違いなどを「見える化」していった ...