日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

           

業界アナリストとの付き合い方

関係構築しないと損をする!アナリストは重要なインフルエンサー

加藤恭子(社会情報大学院大学 准教授/ビーコミ 代表取締役)

広報が付き合うべきは、報道関係者だけではない。業界アナリストとの関係性の築き方について、IT業界を中心に解説していきます。

皆さんはアナリストリレーションズ(AR)という言葉をご存じでしょうか。文字通りアナリストとの関係性を築くことなのですが、「アナリストと関係を築くのはI Rの仕事では?」「上場企業以外には関係ないでしょう」と思われる方もいるかもしれません。実はこのアナリストは証券アナリストのことではなく、「業界アナリスト」のことを指しているのです(図1)

図1 アナリストリレーションズの位置づけ

証券アナリストとは、証券投資の分野において、高度の専門知識と分析技術を応用し、各種情報の分析と投資価値の評価を行い、投資助言や投資管理サービスを提供するプロフェッショナルのことを指します(日本証券アナリスト協会サイトより)。近年、資本市場の発達と高度化に伴って、証券アナリストの所管する業務が大きく広がるとともに、一層専門化が進んでいるとのこと。

今回取り上げる産業アナリストは、証券投資とは関係がありません。企業が上場していようがいまいが、付き合うべき人たちなのです。

調査会社と何が違う?

業界アナリストとはどんな人たちなのでしょうか?基本的には、○○リサーチ、○○総研、○○経済などと名乗っている会社に所属していますが、社名だけでは分かりにくいのが現状です。本稿ではそれらをリサーチ・コンサルティング会社と呼ぶことにします。

例えばテクノロジー系のリサーチ・コンサルティング会社の場合はテクノロジー分野の知見をクライアントに提供するという目的を持ちます。つまり世の中に出ている様々なテクノロジーをそれぞれ専門の業界アナリストが追いかけ、分析・予測し、今後テクノロジーがどうなっていくのか、どのサービスが優れているのかを発表したり、メディアに寄稿したり、イベントで登壇したり、クライアントに助言したりするわけです。

調査会社という呼び名もあります。広義の調査会社にはリサーチ・コンサルティング会社も含まれますが、狭義の調査会社の場合、調査を専業で行っており、調査手法・設計には長けていますが、コンサルティングは行っていません。

ITの世界で著名であり、日本でもビジネス展開をしているリサーチ・コンサルティング会社の1社がガートナーです。同社ではハイプ・サイクル(テクノロジーとアプリケーションの成熟度と採用状況などをグラフィカルに表現)、マジック・クアドラント(マーケットで競合している各社を相対的に位置付けて提示)など独自の方法論を用いて、発表しています。

リサーチ・コンサルティング会社のサイトを見てみると、多くの場合、どの分野をどのアナリストが担当しているかが掲載されています ...

あと61%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する