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米国PRのパラダイムシフト

海外PR事例から学ぶ 戦略的ストーリーテリングのためのタイミング活用法

岡本純子(コミュニケーションストラテジスト)

新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。

PRを成功させるために重要なカギとなるのは「タイミング」を制することだ。普段は取り上げられなくても、たまたま「タイミング」が合ったという理由で話題になるケースは山とある。今回は、「時の流れ」に上手に乗って成功した海外PR事例をご紹介しよう。

知られないと意味がない

PRは戦略的なストーリーテリングである。その立案・実行において、5W1Hは欠かせない要素だ。Who(誰が)、What(何を)、Where(どこで)、When(いつ)、Why(何のために)、How(どうやって)のないストーリー、ニュースはない。その中でも「When」は皆さんが思う以上に比重が大きい。

例えば、最初に不祥事が発覚した会社は厳しい社会的制裁を受けるのに、同じようなことをしても2番手、3番手はさほど非難もされずに終わるケースは多い。逆に、これまでメディアから見向きもされなかった商品やサービスが、他社商品のヒットのタイミングやトレンドに合ったという理由で、注目を集めるということもある。

(1)タイミングをつくり出す

「タイミング」には主に3つの活用術がある。まず1つ目は「タイミングをつくり出す」という方法だ。この手法で大成功を収めたのが、アメリカのペンやクレヨンで知られるCrayola(クレヨラ)。アメリカ人なら知らない人はいないという老舗の国民的ブランドだ。

クレヨラは1903年からクレヨンを生産・販売してきたが、基本の24色の中から初めて1色だけを「引退」させ、新しい色に置き換えると発表した(「生産を取りやめる」といった即物的な物言いはせず、あえてRetirement=引退、という言葉を使うところもミソ。クレヨンを擬人化し、親しみを持たせるという手法もなかなか秀逸だ)。そのタイミングがなかなか計算されていた。

最初の発表は3月21日。しかし、そこでは何色とは言わず、どの色かは31日のナショナルクレヨンデーにFacebookのライブストリーム上で明らかにする、としたのだ。その間、みんなの好きな色や、どの色がなくなるのかをTwitterやInstagramで予想するようにと、ハッシュタグ#WhosLeaving(誰がいなくなるのか)、#ShareYourFave(あなたのお気に入りをシェアして)を立て、投稿を呼びかけた。

バズの連鎖を起こす

発表前に、可能な限りのバズを起こそうというこの「じらし」作戦に人々はまんまと乗せられた。テレビ、新聞もこぞって報道、10日にわたって、ソーシャルメディア上では「どの色なのか」という予想が盛り上がった。

発表日にはニューヨークのタイムズスクエアでイベントを実施。CEOなどが登壇し、Dandelion(タンポポ)、つまり黄色が「引退」することになったことが明らかにされた。さらにはキャラクター化したタンポポ色のクレヨン「Dan D.」が4週間にわたって、全米中を「引退ツアー」をすることになり、ソーシャルやウェブサイト上で、その模様を実況中継していった。この色のクレヨンだけを64本詰めた限定パックを販売したりと、とことん商売上手ぶりを発揮している。

さらに、それに代わる新しい色の発表は同時には行わず、5月に改めて、というじらしようだ。結局、オレゴン州立大学の科学者が偶然見つけた青色系の新色であることが明らかにされたが、今度は、この名称の募集キャンペーンを開始。「ひと粒で10回ぐらいおいしいキャラメル」のような粘り強さなのである。見事なまでにタイミングを「つくり出し」、ソーシャルメディアを徹底的に活用、長期間にわたって話題をジャックする巧妙なやり方といえるだろう。

クレヨラの公式サイト。キャラクター化したタンポポ色のクレヨンが全米中を「引退ツアー」する模様を、ウェブサイト上などで実況中継した。
出所:http://www.crayola.com/tour

タンポポ色の引退発表後、青色系の新色が加わることが明らかに。さらにその名称をウェブサイトで募集するキャンペーンも行われた。

持続的なPRで存在感を

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