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本田哲也のGlobal Topics

「これが、世界を動かすPR会社だ!!」2016年版グローバルPR会社ランキングを読み解く

本田哲也

今年もグローバルPR会社の最新世界ランキングが発表された。本コラムでの紹介も恒例化しつつあるが、今回はこれを紹介しよう。発表したのは、世界有数の業界メディアである『PRWeek』。発行元のHaymarket Media社は、英国、米国、香港を主要拠点に、世界的に展開。グローバルPR業界の権威ともいえるメディアだ。

今回、世界トップ10の変動はなかった。1位は独立系のエデルマン(米国)で、2016年のレベニュー(売上高総利益)は約989億円。続く2位が、オリンピック招致の実績で有名なウェーバー・シャンドウィック(米国・インターパブリックグループ)で約913億円。3位は僕たちブルーカレントも属しているフライシュマン・ヒラード(米国・オムニコムグループ)で約667億円。これが、世界ベスト3のPR会社だ。従業員数はトップのエデルマンでおよそ6000人規模だ。

注目したいのは上位数社の動き。中でも目立つのが、世界2位のウェーバー・シャンドウィックの10%という成長率だ。上位各社の成長率が5%に満たない中、突出して成長しているように見える。これには複数の要因があると思われるが、もっぱら同社の「インテグレーション」が奏功しているという見方が主流だ。

ウェーバーは従来のPRサービスを強化すべく、ストラテジック・プランニング、デジタル、そしてクリエイティブの3つの柱を強化。それらの統合に早期から取り組んできた。これが新規案件の獲得につながり、結果として2016年の業績に寄与したというわけだ。こうした「統合」は大手各社すべてが取り組んできたことだが、現在のところウェーバーが最もそれに成功しているようだ。

これによって、2位のウェーバーと1位のエデルマンの差は一気に縮まった。「不動の世界1位」であるエデルマンだが、2016年の成長率はわずか2%。従業員数を見ても、上位各社のほとんどが増員傾向なのに対し2%減少しており、成長の踊り場にあるようにも見える。

一方の3位以下はどうか。実は3位のフライシュマンと4位のケッチャムは「オムニコムPRグループ」の名のもとに、昨年から緩やかに連携されつつある。この2社を合わせたレベニューは1277億円となり首位のエデルマンを大きく引き離すことになる。一見安定しているように見える最新ランキングだが、波乱の予感が見えないこともない。ではまた来月!

本田哲也(ほんだ・てつや)

ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長/戦略PRプランナー。「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」にPRWeek誌によって選出された日本を代表するPR専門家。著作、国内外での講演実績多数。カンヌライオンズ2017PR部門審査員。最新刊に『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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