記者と広報は、なぜすれ違う?第一線で活躍するメディアの記者に本音で語ってもらいました。
ウェブマガジン 編集者 Yさん(男性)情報誌、美容誌編集者からポータルサイトディレクターなど、様々なエディトリアル経験を積んで15年。"本気でおもしろがる""何が何でもアウトプット"をモットーに、今年は「動画」のコンテンツ化について挑戦中。 |
編集者歴15年、某情報誌編集部に在籍していたころが一番、広報担当、PR担当の名刺が増えました。雑誌が取り扱うジャンルが多岐にわたることから、様々な業界の"色"をプロモーションを通して感じられたものです。なかでも印象的であったのが音楽業界のプロモーターです。
厚さ30センチのリリースとの日々
忙しさ自慢が横行する、36(サブロク)協定やコンプライアンスも真っ青の労働環境のなか、当時の僕はそれでもメディア人としての向上心・矜持だけは持って誌面づくりに取り組んでいました。激務のため常に人手不足だったので、遊軍デスク的に大きな特集を回しながら、専門ジャンルも持っている状況でした。グルメ、音楽、デジタル、ニューオープンなど、多いときで4~5ジャンルを担当して、つまりそれだけのジャンルに紐づくプレスリリースや広報、PR会社からの電話、商談がひっきりなしに入ってきていました。
毎朝厚さ20~30センチほどのプレスリリースの束が机に置かれ、自費で購入したペーパーナイフで黙々と封筒を開けつつ、メールで届くリリースに目を配るのが、出勤後の日課でした。取材、ラフ書き、デザイン打ち合わせ、原稿校正などの合間を縫って、売り込みの方からのアポイントを調整している状況のなか、一番疲労度が高かったのが、レコード会社の宣伝・PR担当者からのアポイントです。
なにせ情報量が多すぎる!1プロモーターあたり、多くて40ほどのタイトルを説明していくので、タスクに忙殺されている頭では処理しきれず、打ち合わせ後はよく頭がしびれていました。おそらくメディアに顔を出すことだけがノルマ化されているのであろうプロモーターの、人のことを忖度(そんたく)できない無神経で妙にテンションだけは高い業界ノリトークにイラっとくることも多かったです。
「このコなんかは◯◯(雑誌名)さんにはまったくハマらないと思うんですが ...