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地域活性のプロが指南

高齢者が支える葉っぱビジネス、IT機器を使い始めた原動力とは

横石知二(いろどり 代表取締役社長)

徳島県上勝町で平均年齢70歳の町民が取り組む「葉っぱビジネス」を起点に、地域活性のヒントを探っていく、シリーズの3回目です。

「葉っぱビジネス」とは、つまものを栽培・出荷・販売する農業ビジネス。

前回は活動を始めてからの失敗と成功への苦労について紹介しました。3回目となる今回は、なぜ上勝町(かみかつちょう)の高齢者がIT機器を使いこなせるようになったか、紹介していきます。

直接取引から市場流通へ

自分のお金で料亭通いをしていたら、何が足らなかったのかがよく見えてきました。それは、洗練された商品づくりが必要であるということ。自然のどこにでもあるものを集めるのではなく、商品としての価値を高めていくことを繰り返すと、全国から葉っぱの注文が殺到するようになりました。この状況を受けて、新たに「葉っぱビジネス」をやってみようという農家が急増して、軌道に乗っていきました。

しかし、やり始めてみると様々な課題も見えてきました。当初、顧客との取引は料亭などと直接していました。ただ、直接取引すると代金回収ができないお店がある。そこで「葉っぱビジネス」を拡大していくには市場を通じて流通させる方法をとるべきだと方向転換したのです。

防災無線で市況を一斉放送

市場から流通させることを試みたのですが、問題点もありました。最も大きかったのは、これまでとの時間帯の違いです。当時の市場は競り販売で、担当者は早朝3時には出社して5時ごろから競売が始まります。こちらの要望や情報を流そうとすると寝る時間がない。送り状も伝票もすべて手作業だったので、出荷量が多くなるにつれ、想像を絶するほどの時間を注文や発送作業に費やすことになりました。

「これでは体がもたないな」と感じるようになり、何かうまく進める仕組みを考えなければ駄目だということを痛感するようになっていきました。

そんなとき、防災無線を使ってお知らせ放送をしていた組合長を見て、ある農家から「葉っぱビジネスの市況も流してもらえないか」との要望もあり、早速マイク片手に放送を開始。ところが農家ではない住民にとっては、屋外の防災無線で長々と市況を流すのは雑音でしかない。「やかましいわ」という文句の嵐が押し寄せてきました。必要な人にとってはありがたいが、必要でない人には迷惑だということに初めて気がつきました。

自分は正しいという勘違い

「葉っぱビジネス」は、顧客からの注文に丁寧に応えて出荷していくことが大切ですから、連日注文対応に追われていました。

ある日、注文をいつものように特定の人にお願いしていたら、「横石さん、私は今日、用事があるから注文の品できんからな」と断りの連絡が入ってきたのです ...

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