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記者の行動原理を読む広報術

できる広報は皆知っている、記者にとっての「旬のネタ」とは何か?

松林 薫(ジャーナリスト)

発信するタイミング次第で、ニュースの扱いは大きく変わる。「旬のネタ」とは「季節」「事件」「流行」の3つ。できる広報はしっかりつかんでいる、記者対応の基本。

新聞記者だった時代にはいつもネタに飢えていた。そういう事情は企業の広報担当もよく理解しているようで、よくネタの売り込みを受けた。「新商品について発表前に教えるので、大きく扱ってもらえませんか」といった、いわゆるリークである。

記者にとっての「旬」がある

記者からすればありがたい話なのだが、中には記事にはならないネタや、広報の期待通りの大きさにはできないネタもたくさんあった。記者が「ニュース価値」をどのように判断しているのかは、この連載の中で詳しく説明していくつもりだが、ベタ記事やボツになってしまう原因は、「旬」を外しているからであるケースが多い。今回は、記事を売り込む際のポイントとなる「旬」について説明しよう。

たくさんの広報担当者と接していると、当然のことながら売り込みがうまいなと感心させられる人と、どうもこの人の持ち込むネタはハズレが多いなという人がいる。広報の実力は社内人脈など様々な要因で決まるものだが、売り込みの「センス」を左右しているのは、「新聞記者にとっての旬とは何か」を肌感覚で理解できているかどうかだったように思う。

新聞にしろテレビにしろ、記者というものはやたらタイミングにこだわる人種である。分かりやすい例を挙げれば、「食品の異物混入事件」の報道には、明らかに記事になりやすい時期とそうでない時期がある。食品業界の人なら誰でも知っているように、異物混入自体は常に一定の確率で発生している。ところが、それがマスコミに大々的に取り上げられるかどうかは、発生した時期に大きく左右されるのである。

記憶に新しいところで言えば、「まるか食品」のカップ麺に虫が混入していた2014年12月の騒動の後、インスタントフードや冷凍食品の「異物混入」が相次いで報道された。記事の件数を見ても、騒動の発覚後3カ月ほどは、異物混入ネタならなんでも記事になる、ある種のブームが起きていたことがうかがえる(図1)。もちろん記事の中心は「まるか食品」だが、同社をめぐる騒動が注目された結果、食品への異物混入自体がマスコミ業界では「旬」になってしまったといえる。

図1 主要5紙の「異物混入」記事数
注)日経テレコンで、「異物混入」が含まれる記事を検索。

大ニュースの「続報」に好機

では、記者にとっての旬とは何なのだろう。大きく分けると3つがある。「季節」「事件」「流行」である。異物混入はこのうち「事件」に相当する。

「季節」については、とくに説明はいらないだろう。そもそも「旬」という言葉自体が、本来はそれぞれの食べ物がおいしくなる季節のことを指すからだ。季節は毎年、同じ周期で巡ってくる。その意味では「ニュース性」は低いのだが、新聞は毎年、同じ時期に「定番の記事」を掲載するのである ...

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