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実践!プレスリリース道場

初のプレミアムフライデー 大和ハウス工業はなぜ先行事例になったのか?

井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウをPRコンサルタント・井上岳久氏が分析・解説します。

今年の2月に経済産業省の肝いりで始まった「プレミアムフライデー」。皆さんは休めていますか?世の中の動向を見ると、プレミアムフライデーを見込んで販促に取り組む企業は多数ありましたが、社員が早めに退社し、プレミアムフライデーに積極的に参加した企業の話題は少ないのが現状でした。

そんな中、いち早く社員が休めるよう人事制度を整備し、リリースを出したのが大和ハウス工業でした。初めてのプレミアムフライデーの前日である2月23日、同社に取材に向かいました。

迅速な制度設計とリリース

今回、大和ハウス工業の人事部では年明け早々から制度づくりに着手。営業時間を通常の9時開始から1時間前倒しにして、午後は半休にすること、2カ月に1回の実施にすることなど独自のルールが決まっていきました。この動きを早い時点で把握していた広報も、すぐにリリースを出せるよう態勢を整え、1月30日には配信するという早業を成し遂げました。

「当社はプレハブ住宅の原点となる商品や業界初の免震住宅を商品化した実績もあり、常に"最初に"取り組みたいという意識が企業風土にあります。創業者・石橋信夫の《スピードは最大のサービス》という言葉もあり、今回もそのスピードを発揮した例と言えます」と広報企画室東京広報グループ上席主任の天鷲(あまわし)克史さんは話します。

ご存じのように、プレミアムフライデーは連日のようにメディアで報じられました。そして、私が目にした多くのメディアで大和ハウス工業の取り組みが紹介されており、天鷲さんも「これだけメディアの反応が良かったことは滅多にありません」と話すほど。理由は、人事部が制度を新設してまで積極的に取り組んだ企業が少なかったことに加え、いち早いリリースの配信が功を奏したのは間違いありません。そのリリース内容を見てみましょう。

社会的意義と会社の姿勢を明示

(ポイント1)まず国による政策をダイレクトに訴求したシンプルなタイトルが目を引きます。「プレミアムフライデーは誰でも知っている強いキーワードなので、余計なサブタイトルはいらないと判断しました」という作戦どおり、強いインパクトを与えています。リードでは経産省が推進する国民運動に賛同していることなど、政策に関連する案件であることを表示。

また、午後3時までの業務終了を推奨するプレミアムフライデーのルールとは異なることが図解され、非常に分かりやすくなっています。この表示によって独自のルールに対するメディアの興味も喚起できるでしょう。

さらに注目したのは、2枚目に同社の長時間労働削減の歴史を年表で掲載していることです。建設業界は長時間労働のイメージが強く、実際に問題になることも多くあります。年表を見ると2004年に事務所を22時で閉鎖する「ロックアウト制度」や、2015年に労働状況の改善が見られない事業所に注意を促す「ブラック事業所認定制度」をつくるなど、様々な施策を導入しています。この表を付けたことで、プレミアムフライデーが一過性のものではなく、継続的に取り組んでいる働き方改革の一環だと印象づけています。

また、この資料をもとに、プレミアムフライデー当日の2月24日には本社のある大阪で人事制度に関するメディア向けのセミナーも開催。これによってプレミアムフライデー以外の派生記事も生まれています。

このセミナーの開催以外にも、当日、大和ハウス工業には多数の取材が入っていました。グループ会社が運営するスポーツクラブや割引特典が用意されたホテルを利用する社員、また、ランニングを楽しむ社員などが取材を受けています。さらには、天鷲さん自身もテニスを楽しむ姿を取材され「半休と言いながら、半分は仕事になってしまったんですけど」と嬉しい悲鳴を上げていました。

話題性と内覧会で興味を喚起

続いて政策に沿った案件として、「家事シェアハウス」という戸建て住宅のリリースをご紹介します(2016年11月28日配信)。間取りの工夫やアイテムの導入により、女性の家事負担を軽減するという取り組みは、メディアの関心が常に高い「女性活躍推進」のテーマにもつながっています。

もともとこの物件は、共働き世帯が多い富山県の同社支店で働く女性たちの意見を取り入れて生まれたそうです ...

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