BtoBの化学メーカー、デンカ(東京・中央区)は2015年に現社名へと変更した。企業ロゴも一新し、名刺など新たに制作したツールの数は2年間で約500点に上る。ブランディングにおけるクリエイティブのこだわりについて、𠮷髙紳介会長が自ら語った。
「元々デザインが好きなんです。建築や工業デザインを見るのが好きで、昔からよく海外の名所を見て回っています」と語る、デンカの𠮷髙紳介会長。2015年に創業100周年を迎えた同社はBtoBの化学メーカーだ。近年はヘルスケアをはじめ、環境・エネルギーといった成長分野に注力している。一方、旧社名は「電気化学工業」で、国内では以前から愛称で「デンカ」と呼ばれていたという。
100周年を機に社名を変更したほか、新しいロゴのお披露目、企業理念やスローガン「できるをつくる。」の策定など、この2年間は一貫してブランディングに注力してきた。自ら「デザイン好き」を自認するとおり、経営者としてクリエイティブへのこだわりも強い。
工場の外壁もブランドの接点
この2年の間に生み出されたブランディングツールの数は、実に500点以上にものぼる。名刺や封筒、財務関連の報告書、株主総会の招集通知といった定番のアイテムに加え、𠮷髙会長自身が国内外の顧客に送るグリーティングカードなども統一されたトーンで制作されている。このほか国内各拠点の工場やタンクの外壁に「Denka」のロゴを掲げるなど、全方位的なブランディングに取り組んできた。
「例えば新潟県糸魚川市の製品タンク。ここは北陸新幹線の車窓から見えるので、重要な場所です。国内だけでも10の主要工場があるので、徹底的にコントロールしようとすると時間がかかる。それでも単にロゴが新しくなったから看板を差し替えよう、文字が書いてあれば何でもいいというわけではない。ブランドは無形資産ですが、看板というのは会社のパワーを感じさせる重要な接点 ...