事業を通じて社会課題の解決を目指す「CSV経営」が近年、注目を集めている。CSVに詳しい藤井剛氏によれば企業が社会的に評価される指標が変わるなか、コーポレートブランド向上に寄与する企業広報の役割も変化しつつある。
そもそも「CSV」とは何か
──コーポレートブランドの向上を目指すには、これからまさにCSVの視点が求められると思います。
その通りですね。CSV(Creating Shared Value)はコーポレートブランドと密接に関係していて、最近は企業のコーポレートコミュニケーション部門やブランド戦略部門と仕事をさせていただく機会が増えてきました。
CSVを提唱したのは「競争戦略の父」と言われるマイケル・E・ポーターで、ビジネスを行う中で、経済的価値の追求と社会課題解決を両立することを目指すべき姿としています(図1)。ただCSVをCSRの延長で捉えてしまうケースも多いのが実情です。
資本市場でも「ESG(環境・社会・ガバナンス)」が重視されているとおり、グローバル企業では社会貢献は当然の行いとされています。『ハーバード・ビジネス・レビュー』が毎年発表する「世界のCEOベスト100」も以前は財務指標のみが判断材料でしたが、2015年からESGの指標も加わりました。
企業が社会的に評価されるポイントが変わるにつれ、世界市場ではCSV視点での取り組みが加速しています。WWF(世界自然保護基金)と組んで独自にパーム油の認証制度を導入したユニリーバ、「エコマジネーション」を掲げ環境分野への戦略的投資を進めたGEがその代表例ですね。
日本でも2015年、トヨタが「環境チャレンジ2050」を発表 …