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RIZAPの広報戦略とは? 新規事業も「コミット」を明言

井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウをPRコンサルタント・井上岳久氏が分析・解説します。

RIZAP(以下、ライザップ)といえば、有名人や一般人が体型を整えて(ボディメイクして)ビフォーアフターを見せるCMが有名です。あのライザップが、ゴルフや英語、料理などの教室も展開しているのをご存じでしょうか。しかもCMではなく、プレスリリースでPRしているという点も意外性があります。今回はそんなライザップの新規事業リリースを見ていきます。

明確な客層の「自己投資産業」

ライザップが1号店を開業したのは2012年のこと。そこから5年間で7万人以上が利用し、店舗は海外を含めて100店舗超と、まさに破竹の勢いで成長を続けています。ライザップのセールスポイントは短期集中で身体づくりに打ち込み、その人自身が望む体型や目標になることをコミットする(確約する)というもの。現在はその方式をボディメイク以外にも転用して事業を拡大しており、同社では一連の事業を「自己投資産業」と名付けています。言い得て妙で、新たなジャンルを確立しそうないい言葉だと思います。

新規事業の第1弾は2015年10月にスタートしたゴルフスクールです。もともとライザップは体幹も鍛えられることから、利用者が「体に筋肉がついて痩せたらゴルフの飛距離も伸びた」と話していたことがゴルフに着目したきっかけでした。元レッスンプロなどの指導により利用者数は1000人を超え、店舗数は6拠点に増えました。相乗効果を出せる分野としてライザップ本体と親和性があったといえるでしょう。2017年1月にはボディメイクとゴルフスクールを併設した店舗も登場し、両者の連動性を強化しています。

続く新規事業の第2弾、第3弾が今回リリースを紹介している英語「RIZAP ENGLISH」(2016年7月開始)と料理「R-COOK」(同11月)です。英語事業は合弁会社として設立。"最初の2カ月で英語にコミット"と宣言し「TOEICスコアアップコース」や「英会話コース」などユーザーごとに目標を設定し、クリアしていく方式はライザップ本体と同様です。顧客は、昇進のためのTOEIC受験や海外転勤などを控える人といったビジネスパーソンが多いということです。

料理事業は、他とは少し毛色や客層が異なります。短期間で格段に調理のスキルを向上させたいという需要があるのかどうか少し気にかかりましたが、自分の店をオープンするにあたりスキルに完全な自信が持てない人、結婚を間近に控えて花嫁修業をしたい女性に向けてなど、様々な需要があるようです。さらに、減量期の身体づくりに低糖質メニューを推奨しているライザップでは、そういった健康的なメニューを家族のためや自身の美容と健康のために学んでみたい方などの利用も想定しています。

自社の認知度を徹底活用

ではそのリリースを見ていきましょう。まず、(ポイント1)新規事業のリリースに必要なのは、基幹事業の知名度を最大限活用することです。せっかくライザップという知名度抜群の社名があるのですから、そこに興味を持ってもらわない手はありません。この場合も「あのライザップが料理や英語を教えるの?」という面白さがあるので、まったくの新興企業が料理や英語の教室を開業するケースと比べても数段有利です。

ライザップといえば「コミットする」と「短期間」がキーワードとして定着しています。「R-COOK」という教室名には「ライザップ」の名称は入っていませんが、この2つのキーワードでライザップを想起させることができます。リリースは広報担当の朝比奈優起さんらがつくりますが、タイトルもこの点がしっかり意識されています。配信前には必ず瀬戸健社長がチェックし、タイトルをより受け手に響くコピーに変えることも多いそうです。

ちなみに「結果にコミットする。」というあまりにも有名なフレーズは数年前、利用者や社内への調査をした際に「ライザップの価値とは何だろう」「ライザップはお客さまに何を提供できるのか」という問いに対して、「お客さまに寄り添うこと」「確実に結果を出すこと」との答えが多かったことから生まれたもの。自社で研究をして、自らの強みを発見することは大切です。

次に本文を見ていきましょう。料理教室のリリースでありながら ...

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