複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

問題の経緯
2016年12月/2017年1月
2016年末から2017年始にかけて「龍角散の粉末を鼻から吸引すると効果的である」「龍角散ののどすっきり飴に、ドーピングとして摂取が禁止される物質が含まれている」といった誤情報がSNS上で拡散。龍角散は即日、公式サイトでこれらを否定するリリースを発表。メディアが「誤報だった」という事実を報じ、騒ぎは沈静化した。
この年末年始に相次いで、龍角散の商品に関する誤った話題がインターネット上で拡散されました。
2016年12月には、「龍角散は実はキメる薬だった!?」「鼻から龍角散」というタイトルや見出しで「龍角散」の粉末を鼻から吸引すると効果的であるとの誤情報が拡散されました。さらに2017年1月には、「龍角散ののどすっきり飴」にドーピングとして摂取が禁止される物質「ヒゲナミン」が含まれているとの誤情報が流れたのです。
龍角散は両ケースともに即日、自社ウェブサイトにニュースリリースを掲載することで対応しました。これらのリリースを発表しウェブメディアなどがその内容を取り上げ、Yahoo!ニュースでも転載され「誤報だった」旨が話題になったのです。やがてネットには龍角散が発表した正しい情報が広がっていき、誤った話題の拡散は、即日で鎮静化しました。
自社サイトで「公式見解」を即日発信
龍角散に関する情報は2回とも、TwitterなどのSNSを中心に拡散しました。このようなケースの広報対応でキモとなるのは、「SNS上だけで先行して対応しない」ということです。最近では、ファンを獲得するためにSNSの公式アカウントを持っている企業が増えています。多数のフォロワーを抱えている人気アカウントもあります。こうした人気のアカウントを持っている場合でも、SNSの誤報対応の際には一次的には利用しないほうが無難です。
まったくその話題に触れないのも不自然ですが …