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米国PRのパラダイムシフト

ケネディ前大使の「恋ダンス」動画 仕掛け人が語る「逃げ恥」と外交に共通する点

岡本純子(コミュニケーションストラテジスト)

新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏によるグローバルトレンドのレポート。PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。

国境を越え、文化を超え、自治体や企業、商品やサービスをグローバルにPRしていきたいというニーズは高まっている。一方で、言葉の壁や予算、人手などの面からハードルが高いのも事実だ。今回は、こうしたクロスボーダーのコミュニケーション活動において、大きな成果を上げている在日アメリカ大使館の取り組みをご紹介しよう。

710万回再生の大使館動画

2016年のクリスマス直前の12月20日、YouTubeにアップされた一本の動画が瞬く間にインターネット上で拡散した。キャロライン・ケネディ前駐日米国大使をはじめ、アメリカ大使館の職員が「恋ダンス」を披露した動画だ。同日まで放送されていた大人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)』(TBSテレビ)の主題歌で、星野源が歌う「恋」に合わせて出演者が踊る本家の映像のパロディ動画として見事に仕上がっている。

ご覧になっていない方には是非見ていただきたいが、サンタ姿のケネディ前大使のチャーミングさや、職員たちの軽やかなダンスが「ほっこりする」「かわいい」と大評判となり、国内外のテレビやニューヨーク・タイムズ、バズフィードなど様々なメディアで取り上げられるなどして、これまでに再生回数710万回という異例のヒットとなった。真面目で堅苦しいと思われがちな外交官が、お茶目な姿を見せるという「ギャップ」も話題をさらった。

この動画の仕掛け人となったのは、アメリカ大使館で映像コミュニケーション・スペシャリストを務める増田奈保子氏だ。増田氏はアメリカの大学を卒業後、現地の高等教育機関で6年間ウェブや映像制作に関わった後、2012年に現職につき、広報・文化交流部で動画制作を中心に携わってきた。2016年10月ごろ、逃げ恥ブームの火付け役ともなった「恋ダンス」の人気を知り「大使館で"We Are The World"のような感じで実現したら面白いのでは」と考えていた。

翌月、大使館内でクリスマスに向けてのホリデービデオの企画を練っていたところ「サンタの格好をして登場したい」とケネディ前大使自ら発案があった。さらに、「踊るのはどう?」と彼女のアイデアはさらに膨らんだ。それならば、と増田氏は上司の外交官に「恋ダンス」のアイデアを提案。キャッチーな楽曲に合わせて踊る本家のダンス映像の魅力は、ケネディ前大使にもすぐに伝わり、この企画が通ったといういきさつだ。

とはいえ、撮影許可が出てから動画を公開したドラマの最終放映日までの期間は短く、制作期間はたった3日というから驚きだ。その間に領事館など計8カ所で13部署、総勢50人のスタッフを撮影、編集するという突貫作業だった。

前大使が着ているサンタのコスチュームも含め衣装はすべて私物。大使公邸の料理人から経済担当の外交官までが振り付けを覚えて参加した。忘年会の席で撮影をしたり …

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