敏腕広報が明かす「付き合いたい記者、付き合いたくない記者」
他紙より早く書きたい記者と、メディアを通じて広く発信したい広報。利害が一致して意気投合することもあれば、すれ違い激しくやり合うことも。上場企業に勤める『広報会議』読者の広報パーソン4人が、記者との向き合い方について語った。
報道対応Q&A
社内外に強い影響力を持つ日本経済新聞との向き合い方は、多くの広報パーソンにとって重要なテーマのひとつ。自社のスタンスや経験談を聞いた。
広報会議編集部がこのほど実施した匿名アンケートで改めて明らかになったのは、広報部門や広報担当者の中での『日経』の圧倒的な存在感だ。メディアリレーションズにおいて日経を重視しているかとの質問(Q1)には9割が「重視している」と答え(「大変重視している」「重視している」の合計)、「重視していない」との回答は4%だった。
その理由はフリーアンサーから読み取れる。ひとつがステークホルダーへの影響力だ。具体的には取引先や顧客などのビジネスパートナー、株主など。もっとも、広報部門のステークホルダーという意味では自社の社長や役員も含まれる。いわば「日経に載ると社長が喜ぶ」ということだ。2つめは他メディアへの波及力。
日経本紙や日経産業新聞、日経MJ、日経電子版をチェックしているのは、テレビや雑誌、専門紙誌、ネットニュースなどの制作者も多く、さらなるメディア露出への可能性が広がる。3つめは記者の質が高いこと。他の一般紙と比べ経済分野に特化した教育を受けているため、業界のビジネス構造を理解し的を射た取材をする記者が多いとの声はよく聞かれる。
偏った視点を持たず、ストレートに報道してくれると感じている広報担当者も少なくない。丁寧に対応してくれるとの声もあった。4つめは意外ともいえるがハードルの低さがありそうだ。上場企業であれば担当記者がつき、定期的に連絡を取り合う体制ができている。本紙への掲載が実現しなくても産業、MJに書いてくれる可能性がある。日経への記事掲載獲得という「成功事例」を4分の3が持つという結果からもそれはうかがえる(Q2)。
発表前の情報を記者に伝える「リーク」の習慣があるとの回答は45%に上った(Q4)。広報にとっては、掲載の可能性を高めるというメリットがある一方で、後述するようなリスクも存在する。広報パーソンは情報を武器にいかに記者と向き合うか。改めて自社のスタンスを考えたい。