報道機関に対する「リーク」という手法は、戦略的広報の一環と考えて問題ないのか。記者経験もあり、危機管理広報に詳しい鈴木悠介弁護士(本誌連載中)は、「発生しうるリスクを把握し関係者への理解を求めることが重要」と指摘する。
ここ最近、スクープを連発する『週刊文春』に触発されてか、各メディアのスクープ合戦が活発です。スクープ記事には、大きく2つのタイプがあります。ひとつは既に公表されている情報や情報公開制度などを用いて、開示を受けた情報を緻密に分析する「調査報道」のようなスクープ。もうひとつは、当局や企業側からのリーク情報に基づくスクープです。数としては、後者の方が圧倒的に多いです。
広報担当者がより高い広報効果を期待してポジティブな情報を発信したいと考えれば、リークという手法を用いるのは無理からぬところでしょう。メディア側も各社横並びのネタよりも、独自ネタの場合により大きく取り扱おうと考えるのも当然です(図1)。
こうした習性を踏まえると、特定のメディアにだけ情報をリークし、スクープ報道として大きく取り上げてもらうという手法は、ある意味で「戦略的な広報」と捉えることもできます。とはいえ、リークにリスクはないのでしょうか。それが本稿のテーマです。
リークは報道ではなく宣伝?
ここでいう「リーク」とは、記事に取り上げるだけの価値があるような情報の提供 …
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