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実践!プレスリリース道場

キリンビバレッジ「生茶」をヒットに導いた5段階のリリースとは

井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウをPRコンサルタント・井上岳久氏が分析・解説します。

2016年、競争の激しい飲料業界で奇跡の復活を遂げたと話題になったのがキリンビバレッジの「キリン 生茶」です。今回はそのリリースを見ていきましょう。

達成リリースは遠慮せずに配信

1990年代にペットボトルの緑茶市場を開拓したのが、伊藤園「お~いお茶」でした。今や年間2億4000万ケースという巨大市場の中で40%という圧倒的シェアを維持しています。2000年代にそこへ参入したのが「生茶」で、女優の松嶋菜々子をCMに起用するなどして緑茶市場の牽引役に。しかし後発のサントリー「伊右衛門」や日本コカ・コーラ「綾鷹」が成長し、近年では4位に甘んじていました。

そこで、2014年から味の改良に着手し、従来よりも茶葉を細かくカットしたり、微粉砕したかぶせ茶を加えたりすることで、さらに深いコクを実現。2016年3月22日にリニューアル発売に至りました。同時にボトルもガラス瓶をイメージして、深緑色のラッピングにするなど刷新したため、そのラベルがずらりと並んだ売り場を最初にスーパーで見たときは私もインパクトを感じましたし、飲んだ後も今までにない味わいの濃さを実感しました。

キリンでは2016年1月半ばの事業方針発表から「今年は生茶を推していく」と表明。キリンビバレッジなどグループ会社の広報を担当しているキリン CSV本部 コーポレートコミュニケーション部では1月21日に新商品リリースを配信し、3月初めに情報系のメディアに向けたセミナーを開催しました。しかしこの商品に関しては、発売前よりも発売後に広報が本領を発揮したといえそうです。

達成リリースは、
(1)発売4日で100万ケース突破
(3月)
(2)発売1カ月で260万ケース突破
(4月)
(3)発売2カ月で500万ケース突破(5月)
(4)発売3カ月で750万ケース突破(6月)
(5)年間販売目標を2500万ケースに再修正(10月)
と、5段階にも分けて配信しています。

各企業の広報担当者と話をすると、「何度もリリースを出すとうるさいと思われるのでは」と遠慮がちな声を聞きます。しかし同部主務・大關(おおせき)秀則さんは「そう考える企業もあるんですか?当社は好調情報をどんどん出していきたいので……」と気にする様子はありません。

私も同じ考えで …

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