2016年最後となるインターナルコミュニケーションプロジェクトのテーマは「社内広報プラン策定法」。次年度の広報計画立案に頭を悩ますこの時期、経営課題の解決に寄与し、社員の行動に効く広報計画策定の考え方を紹介した。
第1部ではパルコ エンタテインメント事業部の後藤哲也氏と産業編集センターはたらくよろこび研究所の相山大輔氏が対談した。広報業務に限らずプロモーションを幅広く手がけてきた後藤氏は、これまでの取り組みを棚卸しして広報プランを見直す際のポイントとして、「現行の広報体制を劇的に変える一番の近道はメンバーをがらりと変えてしまうこと」と提案する。「コストがかかっても、一度外注先を見直してみる勇気は必要。デザイナーでもライターでも、クリエイティブの布陣に新しい風を吹かせてみる。担当者に相応の負荷はかかるが、そのことが結果的に担当者の能力向上にもつながる」。相山氏も「この時期、中期経営計画の見直しをしている企業は2020年に何かしらの『イノベーション』を起こしたいと相談をして来られるケースが多い。しかしイノベーションと一言で言っても、長年培われてきた企業文化はそう簡単に変えられない。それなら些細なことでも確実に会社を変えられる物事に取り組む必要があるのでは」と述べた。
社員の“行動変容”をゴールに
第2部では産業編集センターの石原良平氏が「社内広報プラン立案 実践編 行動実践に効く広報プラン立案法」をテーマに講演した。冒頭「広報における何らかの課題や困難がある場合、こうした状況を改善するには“行動変容”を実現するきっかけを提供するプランが必要」と石原氏は話す。新たな広報プランを考える際、踏むべきステップは
(1)現状分析
(2)課題抽出
(3)施策立案
の3つ。中でも課題抽出においては、どの分野にその課題が属するのかというレイヤー分けをすることが重要と指摘。「例えば社員のモチベーションを上げたいという人的課題であれば、全社アンケートを通じて社員一人ひとりの仕事のやる気が出るポイントを探り、それを阻んでいる課題を抽出するという方法も考えられる。ポイントが分かれば、そこを押さえる施策を随所に散りばめれば良い」と提案した。
第3部では日産自動車の濱口貞行国内広報部長が登壇。広報歴26年という濱口氏は、「次世代の広報のアプローチとして、『モノづくり』から『コトづくり』の広報に重きを置いている」という。「製品の良さや技術の高さを訴求するコミュニケーターから、製品提供過程や製品そのもの、そしてお客さまの体験などを分かりやすく伝えるストーリーテラーにならなければならない」。また同社は社外広報と同様に社内広報活動を重視。部長層に対して月に1回経営層とのバーチャルミーティングを行っており、現状の重要課題や戦略など秘匿性の高い内容について経営トップ層自らがプレゼンテーションする機会を設ける。「会社が今どういう状況にあるのか、社員が何を考えているのかを常にキャッチアップすることが、グローバルで戦える企業体質をつくる」と強調した。
お問い合わせ
株式会社産業編集センター http://www.shc.co.jp/
〒112-0011 東京都文京区千石4-39-17
E-mail:aiyama@shc.jp (担当 相山)