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地域活性のプロが指南

佐賀県・有田焼創業400年 既存商品が新しい切り口でファン獲得

志岐宣幸(佐賀県有田焼創業400年事業推進グループリーダー)

有田焼の魅力を新しい切り口で再発信するために取り組んだ、イベント出展や特別企画展の裏側とは。

「ARITA SELECTION」では、今の時代に合わせた有田焼の新たな魅力を発信してきた。写真は代官山T-SITEでのキャラバンの様子。

有田焼創業400年事業の全17プロジェクトのひとつに「ARITA VALUE CREATION LAB/有田焼価値創造研究処」(通称「アリラボ」)があります。佐賀県出身の下川一哉氏(意と匠研究所代表)に座長となってもらい、有田焼の産地から新たな価値を創造していくための仕組みづくりなどを議論する場として2014年3月に設置しました。

小さな「豆皿」がブームに

伊勢丹新宿店本館1階でもキャラバンを実施。

前号でご紹介したとおり、400年事業では海外への進出を目指すプロジェクトを2013年にスタートさせましたが、産地の事業者からは「海外はハードルが高い」という声が数多く聞こえてきました。そこで、アリラボで外部の有識者を交えて議論し、その中から国内市場をターゲットとする2つのプロジェクトを立ち上げ、2014年9月の合同事業者説明会をもって同時にスタートを切りました。

海外に向けては、新商品によるブランディングと市場開拓に取り組んできました。国内向けでは、有田焼としてこれまでつくられてきた商品を今の時代に合わせてブラッシュアップしながら、その見せ方や売り方を変えることで新たな市場を開拓するというアプローチの方法をとってきました。そのひとつが「ARITA SELECTION」です。デザインプロデューサーでアッシュコンセプトの代表である名児耶秀美氏をディレクターに起用しています。有田焼の魅力を新たな切り口で再編集し発信することで、ファンを開拓するプロジェクトに取り組んできました。

第1弾は「きんしゃい有田豆皿紀行」として、有田焼産地の26の窯元の小さなアイテム「豆皿」147点をセレクトするという企画です。窯元当主の人柄や器づくりへの想いも加えた一冊の書籍として発刊しました。そして2015年6月、東京ビッグサイトで開催されたインテリアの国際見本市「Interior Lifestyle Tokyo」と伊勢丹新宿店での展示発表会を皮切りに、東京・代官山のT-SITEのほか、名古屋、京都、大阪などでキャラバンを展開してきました。

豆皿は「かわいいアイテム」として、各地で幅広い年齢層の女性を中心に人気を得ており、豆皿ブームといった現象が全国に広がりつつあります。書籍を小脇に抱えて「窯元の現場を見たい」「職人に会ってみたい」と遠方から有田に訪ねてくるファンも増えてきているようです ...

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