様々な領域で活躍中の広報パーソンに、転機となったエピソードや仕事における信条、若手へのメッセージなどを伺います。
医薬品、化粧品などの事業を軌道に乗せ、写真フィルム中心の時代から業態転換を成し遂げた富士フイルムで長年にわたり広報を担当。現在は部門を率いる吉澤ちさと氏に、逆風時における広報活動や、経営陣とのコミュニケーションのポイントについて伺いました。
「写真文化を守る」と発信
─1999年に広報部門に異動されました。当時の状況はいかがでしたか。
長い間成長を続けていた写真フィルム(銀塩フィルム)の世界需要は、2000年をピークに右肩下がりに転じました。デジタルカメラの急速な普及が原因です。当時、当社の売上の約6割、利益の3分の2が写真関連事業によるものでしたが、それが落ち込んでいく。そんな逆風下で広報に携わることになりました。
2003年以降、経営陣は強い意志をもって事業改革を進めました。その取り組みを伝えていくことは広報として大切なことであり、大変なことでした。「再生も成長もできる」といくら訴えても、メディアの注目は市場縮小に集まり、新たな事業の将来性や富士フイルムの戦略について報道されることはほとんどありません。私たちはもどかしさを感じていました。…
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