有田焼が世界ブランドとして認知されるために取り組んだ国際見本市への出展、オランダとの協定の裏側とは?
創業400年を機に有田焼の新たな可能性を切り拓こうと、まず取り組んだのは海外市場への挑戦です。
どうすれば海外市場へ進出できるのか──。議論の末に白羽の矢を立てたのは、フランス・パリで開催される国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」(以下、メゾン)への出展でした。全世界へのトレンド発信力の高さに加え、欧州を中心とした世界各国のバイヤーとの商談が期待できたからです。
プロデューサーにはメゾンに豊富な出展経験を持つ工業デザイナーの奥山清行氏を起用し「欧州で結果を残すには、3年連続の出展が必要」との認識で一致しました。そして公募で8社を選考し、2013年12月、メゾンへ出展する「ARITA 400project」がスタートしました。
パリで話題を呼ぶ存在に
2014年9月、奥山氏のディレクションのもと、欧州のライフスタイルや時代性に合ったラインアップで初めて出展しましたが、国内では高いブランド力を誇る「ARITA(有田焼)」がパリでは認知すらされていないという厳しい現実にぶつかることになります。初出展のため商品価値を伝え、商談につなげる経験やスキルも不足するなか、各社は「ARITA」の素晴らしさを懸命に説明しました。その結果、価格差などの課題はありながらも、400年の伝統に裏打ちされたクオリティの高さについて評価を得ることができました。
3回目の出展となった今年の1月には、世界への発信力を強化するためにタレントで映画監督の北野武氏、建築家の隈研吾氏、アートディレクターの佐藤可士和氏とのコラボ作品を出品したところ、メゾン主催者のSAFI(Salons Francais et Internationaux)ではこのために特別ブースを構えるほどの熱の入れよう。出展を重ねるごとに認知度が高まり …