複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
9月21日に公開された志布志市の動画は、うなぎが少女に姿を変えたという設定だったが、その映像が「女性差別」「児童ポルノのようだ」などと批判を集めた。今年3月に犯人の大学生が逮捕された埼玉県朝霞市の少女誘拐・監禁事件もまだ記憶に新しい中、世間の反感は強く、公開から1週間足らずで公開中止となった。
平成26年の都道府県別うなぎ収穫量で堂々1位を誇る鹿児島県。県内で最もうなぎ養殖量が多い志布志市(いぶしし)では、ふるさと納税返礼品であるこのうなぎをPRするため動画を制作し、9月21日にYouTubeで公開しました。ふるさと納税の促進を図ったものでしたが、その内容に対し「女性差別ではないか」との批判が相次ぎ、公開からわずか1週間足らずで公開中止に至りました。
企業や地方公共団体などがPRのために制作する動画や広告、パンフレットでは、刺激的・挑発的な内容や表現が用いられることもあります。それはもちろん、インパクトを残すためです。その結果、話題になり称賛されるケースがある一方、今回のように批判が殺到する場合もあります。一体、称賛と批判の差は何なのでしょうか。批判されないためにはどのような点に気を配れば良いのでしょうか。今回は、動画や広告などのクリエイティブに関するリスク管理について検討します。
擬人化自体はよくある手法
志布志市のPR動画では、うなぎを擬人化し …
あと76%
この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。