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PR施設のメディアパワー

ファミリーや若者にも人気 「新生姜」づくしの「岩下の新生姜ミュージアム」

岩下食品

オープンやリニューアルが相次ぐ企業ミュージアムやショールーム。そのメディアパワーを検証します。

    最終回 岩下食品「岩下の新生姜ミュージアム」

    漬物製造販売会社の岩下食品は、漬物に関心がない消費者も増加する中で新たな価値や楽しさを提供すべく、2015年6月20日に「岩下の新生姜ミュージアム」(栃木市)をオープンした。若者や女性層にも訴求するため、イメージカラーは新生姜の色であるピンクに。新生姜の被り物や遊び心あふれる展示や遊具などを通じて、「新生姜のあるシアワセ」を感じてもらう場として活用する。

高さ5メートルの巨大な新生姜の中に入って記念撮影できるオブジェは、まるでUFOのようにも見える。

食生活の洋風化により、漬物市場はかつての年間約5500億円から3300億円まで縮小している(経済産業省『工業統計』より)。そのような状況に危機感を覚え、岩下食品では「岩下の新生姜ミュージアム」をオープンした。

ミュージアムには新生姜料理を提供するカフェから高さ5メートルにおよぶ新生姜の被り物、新生姜色のグランドピアノ、ネーミングにダジャレを交えた「ジンジャー神社」に至るまで、思わず写真を撮ってSNSにアップしたくなるような展示が多数並ぶ。

同社の創業は1899年(明治32年)と歴史ある企業だけに、そのユニークなコンセプトと斬新ともいえるアイデアについてはネット上でメーカーの意図しない声が聞かれることもあった。ところが岩下和了社長はマイナス要素とはせず、より幅広い層に対して認知度を高める機会として捉えたそうだ。

オープンの告知はプレスリリースと岩下社長のTwitterによる発信のみだったが、のちに『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)や『チャージ730!』(テレビ東京)、『ミュ~コミプラス』(ニッポン放送)などで紹介され、新生姜に馴染みの薄い若年層にも興味を持ってもらえたという手応えを感じたそうだ。結果、2015年のメディア露出数はウェブを除くマス媒体で132件。オープンから1年で約7万人が来訪した。

メジャーな番組などで紹介されたことも手伝って、今年3月にはセブン-イレブンとコラボレーションした新生姜の発売にもこぎ着けた。同館のプロジェクトリーダーで企画開発部の小池貴史氏によれば「大手コンビニに採用されるのは大変光栄なこと。以前では考えられなかった」といい、事業にも好影響を及ぼしている。

さらに6月には東京に進出し、渋谷のロフトで新生姜を使用したメニューを提案する期間限定のカフェも展開した。こちらも『スッキリ!!』(日本テレビ)、『ニュースモーニングサテライト』(テレビ東京)などの情報番組で紹介された。イベントのたびにプレスリリースの発信を重ね、今年上半期も65件のメディア掲載を獲得している。

ピンクのピアノと新生姜の巨大なパッケージ。

「新生姜の部屋」は若い女性社員のアイデア。

矢吹博志(やぶき・ひろし)

PR会社出身。マジックをPRに生かすオフィスパーソナル代表。『夕刊フジ』で「魅惑のショールーム探訪」連載中。

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