居酒屋チェーン「塚田農場」を運営するエー・ピーカンパニーは5年前から、アルバイトを対象とした就職支援セミナー「ツカラボ」を実施している。自社採用にはほとんど関係のない就活支援に挑む背景とは。
8月某日、居酒屋チェーン「塚田農場」などを展開するエー・ピーカンパニー(東京・港)の本社には、店舗で働くアルバイト約100人が集まっていた。普段アルバイトで身にまとう浴衣姿のままに、真剣な顔つきで企業の人事担当者に自らのプレゼンテーションを行っている。
これは同社が5年前から実施するアルバイト向けの就活支援「ツカラボ」のひとつで、2015年からは新たに「ドリーム営業」と呼ばれる企業とのマッチングイベントも実施されている。「塚田農場のアルバイトは元気が良く、接客も丁寧なのでぜひ採用したい」という、IT企業のトップからの持ちかけでスタートした取り組みで、今年の参加企業は20~30社にまで増加。塚田農場で働くことのブランド力が、企業の人事担当者にも影響を及ぼしているのだ。「塚田農場のアルバイト経験者なら」と、通常の選考を省くなど採用で優遇する企業も出てきている。
そんなこともあり、同社アルバイトの就職内定率は100%に迫る勢いだという。就活と学業の両立という就活生の悩み解決の一端を担う施策として「ツカラボ」にはメディアも注目し、日経新聞や「ダイヤモンド・オンライン」などから取材を受けている。
もちろん2016年度卒の内定者146人中15人がアルバイトからの採用だということで、「ツカラボ」が自社の採用活動にまったく関係ないわけではない。しかし、セミナーを受けたアルバイトのほとんどは、別の企業へと就職していく。では、なぜ自社の採用活動に …