複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

高齢の男性に高額な解約料を請求したことが明らかになったPCデポ。「Yahoo!ニュース 個人」にライターのヨッピー氏が詳細な記事を投稿したことで一気に拡散し、大炎上に至った。
TwitterやFacebookなどのソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)が普及したことで、消費者が企業に対する不満などをインターネット上に簡単に公表できるようになりました。公表内容が拡散され、それをきっかけに、インターネット上で企業に対する批判が集まり、炎上と呼ばれる状態に陥ることもあります。
企業が炎上に巻き込まれたときには、個人の投稿だと軽々しく判断するのではなく、「経営にダメージを与えるかもしれないリスク」と捉えて情報を収集し、適切に対応することが求められます。
今回は、PCデポの事例を参考に、SNSへの投稿に対する危機管理広報のあり方を検討します。
炎上放置は法的責任問われる可能性
PCデポは、PCの初期設定やトラブル復旧などをサポートするサービスを提供しています。
8月14日、80歳過ぎの父親が月額約1万5000円の契約に加入していると知った息子が、PCデポに解約を申し出たところ20万円の解約料を請求されたと請求書の写真を添付してTwitterに投稿しました。この投稿がTwit ter上で拡散され、テレビでも繰り返し取り上げられたことも追い打ちをかけ、炎上するに至りました。
この結果、8月14日以前は1500円前後で推移していたPCデポの株価は、17日には最安値1011円、22日には最安値985円、9月2日には最安値657円にまで下がり、投稿から約2週間で時価総額は半減してしまったのです。
ここまでの事態に至った要因は、解約料の高額さ、契約の相手が高齢者であることに加え、8月14日以後のPCデポによる対応の拙さにもあると考えられます。
消費者によるSNS投稿のすべてに、企業が反応する必要まではありませんが...