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次世代メディアのキーパーソンたち

ヤフー☓SmartNews☓東洋経済「プラットフォーマーとメディアの関係」

Yahoo!ニュース×SmartNews×東洋経済オンライン

ニュースやオピニオンが読者の元に届くまでのプロセスは多様化している。その間を取り持つプラットフォーマーの存在やメディアとの関係に着目すると、コンテンツの流通構造が見えてくる。

スマートニュース 執行役員 メディア事業開発担当 藤村厚夫(左)
ヤフー Yahoo!ニュース責任者 有吉健郎(中央)
東洋経済新報社 東洋経済オンライン編集長 山田俊浩(右)

    2012年にサービスを開始したスマートフォン・タブレット向けのニュースアプリ。約1600強のメディアから記事提供を受けている。社内に編集部を置かず、独自開発のウェブ解析技術で話題性の高い記事を選んで配信する。アプリは世界で2000万ダウンロード。月間利用者数は550万人。米国でもサービスを展開している。


    国内最大のニュースサイト。月間PV数は150億(2016年8月)。約200社300メディアからコンテンツ提供を受ける。トピックスでは社内の編集者がニュースを選び、関連記事を選んだ上で配信する。アプリを刷新しスマートフォンからのアクセスが増加中。2015年にオウンドメディアを立ち上げ、メディア業界への情報発信を強化している。


    国内ナンバーワンのアクセス数を誇るビジネス系サイト。月間PV数は1.9億(2016年8月)、ここ数年で大きく伸ばしている。コア読者は30~40代、女性は約3割。Yahoo!ニュースやSmartNewsにも記事を提供するほか、他のニュース・情報サイトの記事を掲載するなど相互提供にも力を入れる。

新たなメディア黄金時代

──情報量の増大やテクノロジーの進歩を背景に、オンラインを通じて情報を読者に届けるプレーヤーとその関係は多様化、複雑化しています。コンテンツを作成するメディア各社とそれを届けるプラットフォーマーやキュレーションメディア──。それらをめぐる状況と課題、今後の展望をお伺いします。

藤村:SmartNews(スマートニュース)は自らコンテンツを生み出すのではなく、人々にコンテンツを適切に届けていくことで付加価値を提供していくビジネスです。社内にライターや編集者を抱えていないので、コンテンツをつくり出すメディア各社といかに良い関係で協調できるかが試金石になると考えています。

有吉:Yahoo!ニュースは今年の7月で20周年を迎えました。開始当初から続けてきたのは、新聞社や通信社などメディア各社と情報提供契約を結んだ上で、皆さんのコンテンツを社内の編集者がYahoo!ニュース トピックスという形で読者に届けることです。

これまでの歴史の中で、大きな転機がいくつかあります。ひとつが2007年。Yahoo!ニュースの記事下にある「関連記事」の欄について、記事の提供元のサイトに直接リンクで飛べるようにしたことです。我々のようなポータルサイトはそれまで、記事を読むためにアクセスしたユーザーを、すべてサイト内にとどめようとしていました。関連記事から直接リンクを置くことで、その一部を提供元に返していくことを始めたわけです。

もうひとつの転機は2013年のYahoo!ニュースアプリのリニューアルです。以前からYahoo!ニュースのアプリはありましたが、大きく見直しました。遅ればせながらアプリに本格参入したとも言えます。この2つの出来事と、PCからスマートフォンへのシフト、これらがこの20年にあった大きな変化です。

山田:東洋経済オンラインには、編集部が作成したコンテンツを掲載するとともに、他社メディアのコンテンツを載せるキュレーションサイトのような側面もあります。これは、ユーザーである読者が知りたいことを分析した上で、自社が得意でないものは他社と組んで提供しようと考えた結果です。いわば「マーケットイン」の考え方に立っています。

社内には、「良い記事を書けば読まれる」と考える「プロダクトアウト」発想の編集者もいます。良い記事であることは必要条件としても、それをどう届けるかについては、つくり手の論理を優先させるべきではないと考えています。

藤村:SmartNewsは、メディアの皆さんからコンテンツをいただいて、我々のアプリを介して読者に届けるというサービスです。今ではSmartNewsの考え方に賛同して一緒に取り組んでいるメディアが1600ほどに上ります。本当に様変わりしてきたと感じますね。

山田:オンラインメディアはここ3年ほどでかなり変わったと思います。少し前なら、広告モデルはいずれ限界が訪れて課金せざるを得ないというような、無料サイトについてネガティブな見方がありました。今言えるのは、この事業に携わるにあたって「ブルーオーシャン(未開拓市場)」はないということ。いわばレッドオーシャン(既存市場)のなかで、必死になって戦い、良い記事を提供する。そして、日々ユーザーに選ばれるしかない。結果的に自分たちが劣っていれば負けるのであって、自信がないのならこの事業を手がける意味がない。

藤村:この数年間は、メディアの創業ラッシュが続いています。新しい会社が立ち上げられ、新しいデジタルメディアを次々につくり出そうという活気に満ちて...

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