プロモーションや地域振興など、キャラクターの活用目的は様々。企業や行政発でヒットコンテンツを生み出すポイントについて、キャラクタープロモーションの第一人者・野澤智行氏が解説します。
8月23日、日本武道館で「ふなっしー夏祭り2016~梨祭NASSYI FES.~」が開催された。ザ・ビートルズ来日公演(1966年)、山口百恵引退コンサート(1980年)などで知られ、今もミュージシャンの聖地であるこの地で、ご当地キャラが単独ライブを行うのは史上初だ。これまで楽曲をプロデュースしてきた高見沢俊彦氏(THEALFEE)や氣志團と登場したふなっしーは、「日本武道(ブドウ)館でなく日本梨(ナシ)館にするぐらいのパフォーマンスを期待」といったやり取りで取材陣を笑わせながら、「船橋発、日本を元気に、世界を笑顔に!」と東京五輪開催の2020年も視野に入れつつ、これからも船橋を拠点に世界へチャレンジすることを表明した。
船橋市から日本武道館へ
本公演では、館内どこからも見えるようにとの配慮で中央に設置された回り舞台を飛び跳ねながら熱唱、ギターを自身の内部に取りこんでの生演奏やワイヤーフライング、体調保持の休憩タイム(梨汁チャージ)の合間に組み込まれた日本マクドナルド・ハッピーセットやLINEゲーム「ポコパン」との企業コラボの告知などを展開。2時間以上に及ぶ長丁場を飽きさせない、盛りだくさんの内容だった。
ゲストの高見沢氏や氣志團、テレビ番組で共演してきたタレントと息の合ったトークで笑わせ、ときには独り舞台で活動の軌跡をしみじみ語るふなっしーの姿をサイリウムや声援を交えて見守る1万2000人のファンの視線は、熱さと温かさにあふれていた。台湾やロサンゼルスから駆けつけたファンもいて驚かされる。私がその存在を知って4年、プロデュースを担当した日本百貨店協会主催「ご当地キャラ総選挙」で初の日本一になってから3年、自らの強い意思と仲間の協力、熱烈なファンの応援で、かねてからの夢だった武道館ライブを実現させた夢の瞬間。非公認の梨の妖精がここまで登りつめたのかと、感慨ひとしおであった。
ご当地キャラの活動目的は
(1)地域内外の注目を集めてファンを増やす
(2)地域自体への興味や好意度を高める
(3)実際の訪問や消費につなげて地域経済を活性化する
(4)居住者や出身者の誇りと一体感を高めるシンボルになり地域を元気にする、
に集約される。
そのなかで、今年も船橋市の梨農家や市場関係者とコラボした「ふなっしー梨箱」が発売される。さらに船橋市へのふるさと納税の特典として船橋の梨を使った「ふなっしーゼリー」が用意されるなど、ふなっしーは既に船橋市に多大な貢献を果たしている。日本武道館と大阪城ホールのライブおよびグッズ売上の収益を全額熊本県に寄付し、9月3日~4日の「熊本キャラフェス」にご当地キャラ仲間とともに参加するなど、今後は船橋市に留まらず、千葉県、ひいては日本を代表するご当地キャラとして災害復興支援の呼びかけ役やインバウンド消費の起爆剤としても重要な …