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リスク広報最前線

伊藤忠商事、不正指摘の当日に反論を発表 スピード広報が信頼維持のカギ

浅見隆行(弁護士)

複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

7月27日、米投資ファンド「グラウカス・リサーチ・グループ」が突如発表した、伊藤忠商事の不正会計に関するレポート。伊藤忠の広報は即座にこれに対応し、プレスリリースで具体的に反論したことで影響を最小限にとどめた。危機管理広報において、いかに初期対応が重要な役割を果たすのか、改めて考えさせられるケースと言えそうだ。

7月27日、アメリカの投資ファンド「グラウカス・リサーチ・グループ」(以下、グラウカス社)が、伊藤忠商事に関し「財務報告の訂正と不正会計の存在を認めることを命じられる次の日本企業となる可能性が高い」と指摘するレポートを公表しました。レポートの内容が真実であれば、2015年の東芝不正会計に続き、大規模な問題に発展し事業や市場で影響を受けることは避けられません。実際、レポートが公表されたことで、伊藤忠商事の株価は前日比で最大10%下落しました。

今回は、グラウカス社が公表したレポートへの伊藤忠商事の広報対応を参考に、企業が不正を疑われたときに清廉性を広報する方法について検討します。

公表当日に2通のリリース

伊藤忠商事は、グラウカス社がレポートを公表した7月27日当日に2通のプレスリリースを発表しました。

1通目のリリースは「当社は適切な会計処理を実施しており、当社の見解とは全く異なるものであります」「当社の単体および連結財務諸表は有限責任監査法人トーマツによる監査を受けており、いずれも適正であるとの監査意見を取得しております」という内容でした。

これ自体は、報じられた内容が事実と異なる場合に、企業側が発信する一般的な内容のリリースです。

今回注目すべきは、同じ日に2通目のリリースも発表したことです。2通目は、グラウカス社がレポートで指摘した3件の不正会計疑惑について、事実と理由を明らかにして反論するというものでした。1通目のリリースと同じく、監査法人による適正意見を取得しているという主張も繰り返しました。

不正や疑惑が指摘された際に上場企業がリリースを出す目的は ...

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