2016年3月、日本交通は東京・紀尾井町(千代田区)に新オフィスを構えた。近年は「テクノロジーとの融合」を掲げIT部門の強化を進めており、旧来からある「タクシー会社」のイメージを覆す空間が広がっている。
「ITテクノロジー×タクシー」をアピールするエントランス
日本交通が無線センターから営業所、そして修理工場までを1カ所に集約していた浮間(東京・北)から、現在の紀尾井町(同・千代田)に本社を移したのは2016年3月のこと。
同社はスマートフォン対応など競合との差別化を目指し、IT部門の強化を図っている。2011年に提供を開始したアプリ「全国タクシー」のようなソフトウェアから、従来は他社から購入していた無線配車システムやドライブレコーダーなどハード面まで自社開発にこだわってきた。
「移転には、IT部門の拡張によって社員数が増え、フロアが手狭になったという背景があります。また優秀なエンジニアの採用を強化していくうえでも、本社機能は都心に移した方が良いだろうという判断がありました」と広報担当の小山泰生氏は話す。
2015年6月に移転プロジェクトが始動し、まず本社に集約する部門を選定。管理部、営業部などの本社機能のほか、ITエンジニア部門や無線センター、そして新卒採用部門の約240人が働いている。プロジェクトメンバーでもある総務担当の柬理亮氏は「無線センターを本社に置くことで、お客さまや乗務員との間に日々起きている課題をエンジニアが把握できるようにしました」と話す。
タクシー会社であることを象徴する空間づくりにもこだわった。営業所がない紀尾井町でも会社の原点を振り返れるようにと、フロア内にタクシーの実車を配置。この実車はエンジニアの試作にも活用され、最新の設備の寸法チェックや試験も行われる。これらのシステムは将来的に他のタクシー会社にも販売することを目指しており、ショールームとしての役割も果たしているという。
「実車があることで、メディアの撮影も営業所を介すことなく実現できます」と小山氏。競合ひしめく業界の中で、オフィスそのものが変革へ挑む姿勢を発信する場となっている。
「オープン」な姿勢表す無駄の少ない執務エリア
遊び心と実用性を備えた社内共用部にも注目
社名 | 日本交通 |
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オフィス使用開始 | 2016年3月 |
場所 | 東京都千代田区 |
社員数 | 約240人 |