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地域活性のプロが指南

「スター・ウォーズ」で18万人を集客 「田んぼアート」による観光地づくり

鈴木 勝(地方公務員・田舎館村 企画観光課長補佐)

田んぼアート第2会場では2013年からキャラクターをテーマに設定。版権の獲得方法や来場者数への影響を総括します。

2014年 サザエさん
2013年からはキャラクターを活用した田んぼアートに挑戦。2013年は「ウルトラマン」、2014年は「サザエさん」をテーマとした。
© 長谷川町子美術館

田んぼアートによって大幅に増加した観光客と村への経済効果を生むための施策について、前回はお伝えしました。今回は多額の投資を行った田んぼアートをいかに長く続けていくかについてお話ししたいと思います。

「ウルトラマン」の版権活用

2012年にオープンした第2会場は道の駅「いなかだて『弥生の里』」に隣接しています。この道の駅は大型コンビネーション遊具や変わり自転車、パターゴルフ、ゴーカートなど小さい子どもが遊べる施設がそろっており、親子連れで楽しめる場所です。これまで田んぼアートのテーマは著作権などの問題をクリアできる作品としてきましたが、第2会場は親子で楽しめるキャラクターをテーマにできないかと検討を始めました。

そんなときに朗報が。2013年に「ウルトラマン」をテーマとして使えることとなったのです。記念すべき20回となった2012年に全国で田んぼアートを実施している団体が田舎館村に結集し、「全国田んぼアートサミット」を開催。その際、実施団体を集めるため「家の光出版総合サービス」が主催する「田んぼアートニッポンプロジェクト」に加入しました。このプロジェクトでは毎年統一のテーマが決まっており、2013年の統一テーマが「ウルトラマン」だったのです。

この年の第1会場のテーマは「花魁とハリウッドスター」。花魁については梅沢富美男さんが演じる姿がモチーフで、前年に田んぼアートを見学された際にご本人から使用許可をいただきました。ハリウッドスターについては「マリリン・モンロー」と言ってしまうと肖像権の管理団体からの許可が必要となってしまいます。そこでテーマを「ハリウッドスター」とし、映画公開以降の年数により許可が不要となった『七年目の浮気』の一場面を使用することにしました。

結果、2013年の見学者数は第1会場が14万3000人(前年比2万人増)でしたが、第2会場は10万8000人(同約4000人増)に。第2会場は相変わらず伸び悩んでいました。

「スター・ウォーズ」で世界に

2015年 スター・ウォーズ
2015年の第2会場のテーマは「スター・ウォーズ」で、田んぼアート用の描き下ろしの図柄。見学者18万3000人(前年比4万人増)とついに第1会場を上回った。
© & TM Lucasfilm Ltd.

2013年秋、翌年のテーマを決める時期にとある情報が入ってきました。アニメ『サザエさん』が2014年に放送開始45周年を迎えるとのことです。サザエさんは言わずと知れた国民的アニメで、親子3世代で訪れていただくのにうってつけのテーマ。そう思い、早速行動に移します。

まず、青森県内でサザエさんを放送しているテレビ局を頼りに配給元と交渉しました。村としては田んぼアートを使ってアニメ放送45周年を宣伝するので無料で使わせてほしい。配給元としては無料の宣伝ツールを活用できるという「win-win」の関係を築こうとしたのです。これに著作権の管理団体からも了解をいただきました。嬉しいことに図柄は田んぼアート用に書き下ろしたオリジナル作品です。

2014年は第1会場でもちょっとした初の試みがありました。第1会場のテーマは ...

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