オープンやリニューアルが相次ぐ企業ミュージアムやショールーム。そのメディアパワーを検証します。
ミサワホーム「ミサワパーク東京」
ミサワホームは、住まいの先進技術を実際に見て触れる体感型施設「ミサワパーク東京」(杉並区)を2014年秋にリニューアルした。プロジェクションマッピングで同社の住宅と歴史をたどる映像を増設、地震シミュレーターは想定東海沖地震レベルを体感できるようになった。さらに本年4月からクラブツーリズムとコラボし「大人の社会科見学ツアー」が導入され、より広い層にアプローチする。

ミサワホーム創業以来の住宅写真と昭和・平成史をデジタルアーカイブで比較しつつ楽しめる。画面前で手をかざすと、経済勃興期から平成不況に至るまでの時代ごとの住宅と代表的な歴史事象が立ち現れる。
2014年秋にリニューアルした「ミサワパーク東京」がオープンしたのは2006年。「従来は、住宅購入を検討中のお客さまに当社の技術を伝えるための施設でした」と語るのはミサワホーム 首都圏法人営業部主幹の片山徹氏だ。1960年代から南極の昭和基地で建物建設に協力する写真や、木質パネル同士を接着剤でつなげる同社独自の工法と釘での接合を比較する実験などで技術力の高さを示す。
目玉は、想定東海沖地震レベルを体感する地震シミュレーター。乗ると、叫び声を上げそうになるほどの激しい揺れ。その後、制震装置を施した住宅と同等仕様で再び起震を体験すると、著しく揺れが軽減される仕掛けだ。 創業した1960年代からの歴史と時代ごとの史実を比較対照できるデジタルア-カイブもなかなか見ものだった。
「1970年」という数字に手をかざすと、「大阪万博開催」の文字が現れる。そこに当時の、ヘリコプターで部材を輸送し現地で組み立てるだけで完成するという住宅の実験の様子も映し出される。常に最新鋭であり続けた、同社の技術を存分に体感できる内容だ。
「都内でこれほどの規模の住まいのテーマパークを持つのはミサワホームだけ」と片山氏は語る。既に9月まで住宅建設を検討するエンドユーザーからの予約で一杯だ。
そしてより広い層に訴求するため、4月から始まったのがクラブツーリズムとのコラボレーション。人気の「大人の社会科見学ツアー」で「ミサワパーク東京」を中心に周遊するプランを組み入れた。最寄りの京王井の頭線高井戸駅に集合し、近くの名物せんべい屋を経てミサワパーク東京を見学。その後、世田谷区の芦花公園にバスで移動し散策を楽しむという内容である。住宅専門紙数紙にも取り上げられた。
最近の街歩きブームもあってか、年配者や女性グループのみならず一人での応募など幅広い層が集まっている。当初予定より回数が増え、7月以降、同社の沼田工場(群馬県)へのツアーも始まる。ハードのみでなくソフトでも差別化を図り話題を生み出し、広い層に波及させている好例だろう。

地震シミュレーターは想定東海沖地震を体感する。

敷地奥には同社のコンセプト住宅が数棟並ぶ。
矢吹博志(やぶき ひろし)PR会社出身。マジックをPRに生かすオフィスパーソナル代表。『夕刊フジ』で「魅惑のショールーム探訪」連載中。 |