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ブランド価値を高めるCSRのあり方とは

クロス・マーケティング

企業のCSR活動は、「責任」としての社会貢献活動から、根幹にある生産活動と結びつけていくことに焦点がシフトしつつある。クロス・マーケティングと宣伝会議による「インサイトスコープProject」セミナーが開かれ、CSRとブランドをテーマに議論が繰り広げられた。

インサイトスコープProjectは、複雑化している企業のマーケティング戦略を成功に結び付けるための手法や考え方を、ケーススタディや分析データをもとにご紹介することを目的としています。

5月18日の東京会場には約220人が来場した。

最新のマーケティングトレンドを踏まえ、ケーススタディや分析データをもとに最適な戦略や手法について議論する「インサイトスコープProject」。その一環として、「選ばれるブランドを築く ソーシャルグッド~CSRとブランドの融合~」と題したセミナーが東京・大阪で開催された。

5月18日に開かれた東京会場では、第1部に伊藤園の笹谷秀光氏が登壇した。笹谷氏は、「CSV(共通価値の創造)の考え方を取り込む上で、日本古来の自分よし、相手よし、世間よしからなる『三方よし』の発想が参考になる。ただし、それとともに心得とされる『陰徳善事』、つまり分かる人には分かるという考え方では伝わらない。そこで『発信型三方よし』に切り替えました」と述べた。情報を発信することで企業発のソーシャルグッドが生まれる。それによってコーポレートブランドの確立につながると強調した。

伊藤園・笹谷秀光氏の基調講演(東京会場)

利他性マーケティングを提言

第2部ではクロス・マーケティンググループの研究機関「クロスラボ」の水師裕氏が、心理学領域で研究されてきた「利他性」の観点からソーシャルグッドな消費者行動を読み解く方法を紹介した。

水師氏は、自身のこれまでの研究を踏まえ、昨今の利他的行動をとる消費者の増加から、「利他性マーケティング」の必要性を提言した。「利他性マーケティング」とは、消費者の利他性の性質を理解し、それに対応するマーケティング戦略で、特定の社会問題への関心度の高低によってターゲット消費者への対応を変えることが重要だという。「例えば寄付つきのミネラルウォーターを販売すると仮定した場合、消費者には商品を通じて支援される当該社会問題への関心が高い層と低い層がいます。この時、関心が高い層は価値類似性(社会貢献活動に対する売り手と買い手の価値意識の合致度)からの影響が強く、逆に関心が低いほど共感からの影響が強い。つまり社会問題への関心が高いほど、企業の社会的取り組みをよく考えて購買するかを決め、一方関心が低い層は、援助される他者への感情に購買を左右される傾向があります」(水師氏)。こうした点を踏まえ、関心度の高い層には「考えさせる」こと、低い層には「感じさせる」ことが肝要だと指摘した。

クロス・マーケティンググループの水師裕氏

積極的なCSR活動のPRを

第3部のパネルディスカッションでは、自社のCSRやCSV、コーポレートブランディングの課題と日々現場で向き合う様々な企業のキーパーソンが登壇した。登壇企業の1社である富士フイルムは、2014年に「サステナブル・バリュー・プラン2016」を発表し事業を通じた社会・環境課題解決への貢献に取り組んでいる。「この取り組みは、当社がグローバルに事業を展開するメーカーとしてCSR戦略に力を入れることで、その活動そのものが競合他社への優位性につながると考えた上でのもの。またクライアントもこうした社会課題、環境課題への取り組みの有無を今後の取引継続の要点としてとらえているようです」と同社の川﨑素子氏は語る。

富士フイルムと同様に環境負荷の削減に力を入れているというユニリーバ・ジャパン・ホールディングスの新名司氏も、サステナビリティへの取り組みが自社の成長や信頼性の向上につながると説明した。ユニリーバでは「環境負荷を減らし、社会に貢献しながらビジネスを2倍に」という企業ビジョンを掲げているが、この考えに全世界に散らばる社員を賛同させるために、経営トップが自ら発信者となってマインドの共有を推進しているという。「トップのコミットメントを得ることで、サステナビリティへの重要性を全社員が認識できる仕組みになっています。そうすることで、部門を越え、長期的な取り組みがしやすくなります」(新名氏)。

メーカーだけでなくサービス業の経営でもCSR重視の流れは同様だ。ネット募金や「復興デパートメント」などの社会貢献を手掛けるヤフーの妹尾正仁氏は、今後はこうしたプラットフォームの枠を越えた「増幅装置」としての役割も担っていきたいという。「例えば当社ではマッチング募金やくじ付き募金といった取り組みを行っていますが、ヤフーの取り組みが、世の中の社会課題解決のためのエンジンとなるような、新たなサービス提案を行っていきたいです」(妹尾氏)。

パネルディスカッションには企業のソーシャルコミュニケーションのニーズに応える電通の専門チーム「電通ソーシャル・デザイン・エンジン」を率いる福井崇人氏も登壇。福井氏はCSRには
(1)従業員満足度アップ(社会から認められる)、
(2)顧客満足度アップ(コスト以外に共感できる企業や商品を選ぶようになる)、
(3)社会満足度アップ(官公庁からの受注・落札がしやすくなる)、
という3つの効果が期待できると指摘。そのためにも、社内、社外、そして法律の浸透不足が現状の課題であると強調した。

セミナーは5月13日に大阪会場でも開かれた。第1部の基調講演にはカルビーの加藤孝一氏が登壇し、同社の販促物の制作や調達を手掛けるカルネコ事業部が実施した消費者の環境保護に関するオリジナル調査を紹介した。その結果、消費者は企業のCSR活動のPRに好意的ということが分かったという。加藤氏はこうした手応えから、「企業は活動を堂々とアピールすべき」と主張した。

大阪会場には約100人が来場。写真はカルビー・加藤孝一氏の基調講演。

インサイトスコープProjectセミナー
選ばれるブランドを築く ソーシャルグッド~CSRとブランドの融合~
東京 大阪
開催日:5月18日(水)
会場:フクラシア浜松町
開催日:5月13日(金)
会場:ブリーゼプラザ
第1部
「発信型三方よし」のCSRがつくる共創価値とブランド
伊藤園 常務執行役員 CSR推進部長 笹谷秀光氏
もっと、身近に。普段のお買い物を通して環境貢献!
カルビー カルネコ事業部 事業部長 加藤孝一氏
第2部
利他性マーケティング~消費者購買行動を利他性から読み解く~
クロス・マーケティンググループ クロスラボ/主席研究員 水師 裕氏
第3部
[パネルディスカッション] 事業の成長につながる 企業のCSR活動とその効果

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス
アシスタントコミュニケーションマネジャー
新名 司氏

富士フイルム
CSR推進部 環境・品質マネジメント部長 富士フイルムホールディングス 経営企画部 CSRグループ 統括マネージャー 川﨑素子氏

電通
ソーシャル・デザイン・エンジン代表 クリエーティブ・ディレクター/コミュニケーション・デザイン・ディレクター 福井崇人氏

ヤフー
社会貢献推進室 室長 妹尾正仁氏

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス
アシスタントコミュニケーションマネジャー
新名 司氏

味の素
グローバルコミュニケーション部 PR・CSRグループ シニアマネージャー 中尾洋三氏

電通
ソーシャル・デザイン・エンジン代表 クリエーティブ・ディレクター/コミュニケーション・デザイン・ディレクター 福井崇人氏

    お問い合わせ

    株式会社クロス・マーケティング 
    http://www.cross-m.co.jp/ 
    TEL: 03-6859-2252 
    E-mail: insight-web@ml.cross-m.co.jp 

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