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元報道記者の弁護士が提言 メディアの動きを先読みする広報になる!

変わるニュースバリュー 「元社員」の不祥事?「現役社員」の不祥事?

鈴木悠介 (西村あさひ法律事務所・元TBSテレビ記者)

テレビ局報道記者出身の弁護士が法務とメディア、相互の視点から特に不祥事発生時の取材対応の問題点と解決策を提言します。

図1 従業員の不正疑惑が報じられたら?
あるとき、A社の広報部に週刊誌の記者から「おたくの経理部長X氏が会社のお金を使い込んでいる、とのタレコミが編集部に寄せられた。そのような事実はあるか」との取材がありました。

広報部は記者から問い合わせがあったことについて法務部に相談したところ、法務部では経理部長による使い込みの事実を把握していない様子でした。

記者の問い合わせがあってから1週間後、週刊誌に「A社現職経理部長、多額の経費使い込みか!?」という記事が掲載されました。

企業において図1のケースのように、不祥事の端緒を把握する前に不祥事が報道される場合があります。その時点で、不祥事を起こした従業員が現職の従業員か、退職済みの元従業員かという点はとても大きな意味を持ちます。まずマスコミ対応の観点から、当然ながら元従業員による不祥事の場合、現職の従業員による不祥事よりもニュースバリューは下がります。ただし横領事件のように会社を舞台とする不祥事の場合、元従業員の不祥事であったとしても会社の名前入りで報じられることは避けられません。

他方で、喧嘩や痴漢といった従業員個人の資質が問題とされる不祥事の場合、基本的には会社の監督責任の問題とはなりません。よって報道される時点で不祥事を起こした当事者が「元」従業員であればそもそもニュースとして取り上げられない、報道されたとしても会社の名前に触れられずに済むかもしれません。

従業員が現職である場合は、「なぜ不祥事を起こした従業員を現在も雇用しているのか」などと批判の矛先が会社に向けられるリスクもあります。「不祥事を防止する体制を構築できていたか」という点に加えて、「起きてしまった不祥事を早期に探知し、会社として適切な措置を取ったか」という点についても責任が問われることになるからです。報道された時点で ...

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