政府・与党を動かすファクトを集めようと独自調査を実施し、メディアも巻き込んで問題を提起した例。様々なステークホルダーとコミュニケーションしながら、世論形成へと導いたその手法とは。
社会人なら誰もが経験のある経費精算手続き。財布から必要な領収書を探し出し、経理に提出するも差し戻され……と、うんざりした経験がある人も少なくないだろう。2015年12月、そんな経費精算の煩わしさを解消する出来事が起きた。スマートフォン(スマホ)やデジタルカメラで撮影した領収書の画像を正式な書類として認めるという規制緩和を盛り込んだ税制改正大綱が閣議決定されたのだ。
関係省庁や業界団体に働きかけ、この規制緩和の道筋をつくったのがスマホとクラウドを活用した経費精算サービスを提供するコンカー(東京・千代田)だ。同社は2014年12月から2015年1月にかけて、日本CFO協会会員約700人以上の協力を得て「領収書原本保管義務緩和に関する実態調査」を実施。2015年3月に調査リリースとして発表した。
クライアントの声から調査
日本では現在、領収書の原本を7年間保管する義務がある。このコストは大手企業になるほど膨大となる。ある大手証券会社では専用の倉庫に運搬し保存しており、その費用は年間約5億円に達する。
コンカーの試算によると、領収書の糊付けにかかる作業時間を人件費に換算すると日本全体で年間6000億円以上。人材不足による労働生産性向上が社会問題化する中、由々しき数字であることが分かる。「当社は米Concur Technologies,Inc.の日本法人ですが …