自然災害による被災の当事者として広報する際のポイント
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震によって、多くの死傷者や家屋の倒壊などの被害が生じました。1月8日には石川県小松市を創業の地とするコマツが義援金総額6億円(石川県5億円、富山県1億円)の緊急支援や、被災地の要請に沿った形で機材を無償貸与することを決定するなど、企業各社が復興に向けて支援する態度を明らかにしています。今回は、震災など自然災害の被害にあったときに広報する際のポイントを解説します。
リスク広報最前線
複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
「お前らなんか、1回戦負けしろ」──。今年3月、滋賀県議が大会前の高校球児に放った暴言が物議をかもした。毎日新聞が報じたことで明らかになったもので、吉田清一県議は3月31日、会見を開き釈明。しかし、会見で謝罪の言葉はなかった上、一方的に終了。ニュースでは、会見後あとを追いかける記者を強引に振り切り、逃げ去るように車に乗り込む姿も報じられた。
2016年3月に開催された選抜高校野球大会に出場した滋賀学園の選手たちが、大会前に滋賀県庁で催された激励会に出席した際、滋賀県議会の吉田清一県議から「1回戦負けしろ」という趣旨の発言を受けていたことが大会終了直前に明らかになりました。
3月31日、同議員は記者会見を行い、「駐車できない場所に学校側がバスを停めた」ことを理由に「『こんなことをしていると1回戦で負けてしまうぞ』と言っただけだ」と説明しました。しかし、バスを停車した位置は滋賀県教育委員会が指定し、乗降することを認めた場所でした。「駐車できない場所にバスを停めた」という説明が議員の誤解だったことが発覚し、発信内容とともにメディアやネット上で批判を浴びることとなりました。
この件を題材に、企業トップの発言や、広告宣伝で誤解を招く表現をした場合、あるいは誤解を前提として発言した場合に、企業はどう対応すべきかを解説します。
企業トップが記者会見やインタビュー取材に応じた場合、表現が言葉足らずで誤解を招き、メディアや社会から批判されることは頻繁に発生します。
広告宣伝の表現でも、特長を強調して訴求しようとするばかりに誤解を招くことが度々起こります。
2015年7月、通信会社が「速度制限なし」をうたい、あたかも通信容量による速度規制がないモバイル通信サービスを開始したかのように表現しました。ところが実態は異なり ...