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市民から全国の高校生まで巻き込む 愛媛県松山市「ことばのちから」プロジェクト

愛媛県松山市では2000年から、全国から30文字以内で自由に「ことば」を募集するコンテスト「ことばのちから」プロジェクトを実施している。現在は3万2000通を超える「ことば」が集まるプロジェクトの狙いと成果とは。

最もにぎわう商店街や、道後温泉などの観光地で各所に「ことば」が散りばめられている。

「ことばのちから」は、松山市(愛媛県)が2000年に開始し、16年続くプロジェクトである。30文字以内で自由な「ことば」を市民から募集するという企画で、子どもから高齢者まで、誰でも気軽に参加できる。俳句や川柳のように形式の制限は設けていない。

初年度は1万2001通の「ことば」が集まり、その中から優秀な23作品を2001年1月に表彰。それらの「ことば」は、2001年から松山市で最もにぎわう商店街を大小様々な形で彩ってきた。

「ことばのちから」がスタートしたきっかけは、愛媛県の中村時広知事が松山市長時代に、地元出身のデザイナー・山内敏功氏に「全国で誰もまだ実現していないような企画で松山市をPRできないか」と話を持ちかけたことだった。山内氏は東京から愛媛にUターンし、地元で都市や地産品のブランディングなどに携わっている。

まず山内氏は2000年6月、職人や音楽家、俳句家などものづくりに携わる個性的なメンバーを集めた市民委員会「松山 21世紀イベント委員会」を発足した。

松山市は正岡子規ら多くの文化人を輩出し、夏目漱石の『坊ちゃん』、司馬遼太郎の『坂の上の雲』など、多くの小説の舞台となった文学の地でもある。それらの背景から、「ことば」をキーワードにした地域活性化の企画が生まれた。

また、一連のプロジェクトは行政による予算ありきで始動したわけではなく、あくまで市民らによるアイデアを重視した点もポイントだ。「優れたアイデアであれば、議会で予算を承認する」という条件のもとスタートした。

1988年から松山大学で開催していた「俳句甲子園」は2001年から全国区に。今では各地の高校生が予選を経て参加する。2015年8月には伊予鉄道の協力でことばをのせて走らせる「路面電車」も実現し、いまでは街全体に「ことば」があふれている状態だ。「ことば」を基軸としたアイデアが全国に松山市をPRする企画を多数生み出し、街のエネルギーの源泉となっている。

街を走る路面電車も「ことば」を載せている。

ビンデザインオフィス 代表取締役 山内敏功(やまうち・びんこう)氏

1950年愛媛県生まれ。1980年ビンデザインオフィス設立。地域商品のパッケージデザインにはじまり、商業施設、道の駅、幼稚園、企業などのブランディングデザインを手がける。

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