広子は、堅調な会社業績にも支えられ、IR担当者として順調に成長している。そんな広子の部署に後輩が配属された。後輩教育という新たなミッションが加わった形である。今日はその新人を連れて、少々先輩風を吹かせながら一緒に勉強会に臨むこととした。
広子▶ こんにちは、今日から二人でお邪魔します。大森さん、東堂を紹介しますね。
東堂▶ はじめまして、経営企画部IR担当へ配属になりました東堂証子と申します。入社3年目で正直まだ右も左も分からず、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします。
大森▶ いらっしゃい、東堂さん。緊張してる? 一年ほど前の広子さんの第一声も「右も左も分からない」だったよねぇ?
広子▶ おほん。私も東堂を教えていて、分かっているつもりでも説明しきれないところも多くて……。勉強し直すつもりで頑張ります。
大森▶ いいねぇ。広子さんはこうして僕の勉強会に少し早く来て雑談しているわけだけど。この雑談のルールは(1)疑問はその場で解消 (2)質問には考えたことを素直に答える、その二つだけ。
広子▶ そんなルールありましたっけ?
大森▶ 確かに話したことはないけど、広子さんは分からないことは恥ずかしがらずにそのまま聞くし、間違っているかも、なんていう躊躇なしに自分なりの答えを出すじゃない。
広子▶ なんだか、天然なお調子者という響きがあふれていませんか?
IRの基本的な構成は?
大森▶ いやいや、褒めてるよ。東堂さんが考えるIRってどんな仕事?
東堂▶ ええっと、インベスターリレーションズのことで、株主や投資家に対して投資判断に必要な企業情報などを適時、公平に継続して提供することによって、良好な関係を構築する活動のことです。
大森▶ お、すらすら出てくるね。じゃあ、ちょっと要素別に分解してみようか?
広子▶ おぉ、出た出た、得意の分解。
大森▶ じゃあ、広子さん、お手本を …